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プロジェクトマネジメント

日々繰り返される通常業務(ルーティンワーク)とは異なり、「決められた期間内に、これまでにない独自の成果物を生み出す活動」のことをプロジェクトと呼びます。プロジェクトには次の2つの特徴があります。

  1. 有期性 ── 明確な開始と終了がある(永続的に続くものではない)
  2. 独自性 ── 毎回同じものを作るのではなく、独自の成果物やサービスを生み出す

たとえば「新しい社内システムを半年で開発する」「3か月で新店舗をオープンする」はプロジェクトです。一方、「毎日の経理処理」「定例の受注業務」は通常業務であり、プロジェクトとは呼びません。

試験で出るポイント

プロジェクトの定義として「有期的」「独自の成果物」の2つのキーワードを押さえておきましょう。通常業務との違いを問う問題が出ることがあります。

プロジェクトマネジメントとPMBOK

Section titled “プロジェクトマネジメントとPMBOK”

プロジェクトを成功させるためには、計画を立て、進捗を管理し、問題が起きたときに適切に対処することが必要です。こうしたプロジェクトの目標達成に向けた管理活動全般をプロジェクトマネジメントと呼びます。

プロジェクトマネジメントの知識や手法を体系的にまとめた国際的なガイドラインがPMBOK(Project Management Body of Knowledge:ピンボック)です。PMBOKはアメリカのPMI(Project Management Institute)という団体が策定しており、世界中のプロジェクト管理の基準として広く活用されています。

プロジェクト全体の責任者をプロジェクトマネージャと呼びます。プロジェクトマネージャは、計画の策定からメンバーの調整、進捗管理、関係者との連絡まで、プロジェクトの成功に向けてあらゆる面を統括する役割を担います。

試験で出るポイント

PMBOKは「プロジェクトマネジメントの知識体系をまとめた国際的なガイドライン」という定義を覚えておけば十分です。詳細な知識エリアまでは問われません。

プロジェクト憲章とプロジェクト計画書

Section titled “プロジェクト憲章とプロジェクト計画書”

プロジェクトを正式に開始するとき、最初に作成する文書がプロジェクト憲章です。プロジェクト憲章には、プロジェクトの目的、おおまかな範囲、主要なステークホルダ、プロジェクトマネージャの任命と権限などが記載されます。いわば「このプロジェクトを正式に立ち上げます」という宣言書のようなものです。

プロジェクト憲章で大枠が承認されたら、次に作成するのがプロジェクト計画書です。プロジェクト計画書は、プロジェクト憲章よりもはるかに詳細で、具体的なスケジュール、予算、品質基準、リスクへの対応策、コミュニケーション方法などを定めます。プロジェクト計画書は、プロジェクトを進めるうえでの「設計図」にあたる重要な文書です。

文書内容タイミング
プロジェクト憲章目的・範囲の概要・PMの任命プロジェクト開始時
プロジェクト計画書スケジュール・予算・品質基準など詳細憲章承認後

ステークホルダとは、プロジェクトに影響を与える、またはプロジェクトから影響を受ける個人や組織のことです。具体的には、プロジェクトの発注者(顧客)、プロジェクトメンバー、経営層、エンドユーザーなどが該当します。

プロジェクトを成功させるためには、ステークホルダを早い段階で洗い出し、それぞれの期待や懸念を把握して適切にコミュニケーションを取ることが重要です。たとえば、経営層には定期的に進捗報告を行い、エンドユーザーには要件のヒアリングを丁寧に行うといった対応が求められます。

プロジェクトスコープとは、プロジェクトで作り出す成果物と、そのために必要な作業の範囲を定義したものです。「何を作るか」「何をやるか」を明確にすることで、プロジェクトの方向性がぶれるのを防ぎます。

たとえば「社内の勤怠管理システムを開発する」というプロジェクトでは、「出退勤の記録機能」「残業時間の集計機能」はスコープに含まれますが、「給与計算機能」はスコープ外、というように線引きをします。

試験で出るポイント

プロジェクトスコープは「成果物と作業の範囲」を定義するものです。「予算の管理」や「スケジュールの策定」はスコープの定義には含まれません。選択肢の引っかけに注意しましょう。

WBS ── 作業を分解して見える化する

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プロジェクトの作業範囲が決まったら、次にやるべきことは作業を細かく分解することです。WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)は、プロジェクト全体の作業を階層的に細分化して整理した図です。

WBSでは、まずプロジェクト全体を大きなまとまりに分け、さらにそれを中くらいの作業に分け、最終的に担当者が実行できるレベルの具体的な作業(ワークパッケージ)にまで分解します。

WBSを作ることで、次のようなメリットがあります。

  • プロジェクト全体の作業を漏れなく洗い出せる
  • 各作業の担当者や工数を明確にできる
  • スケジュールやコストの見積りの基礎になる

試験で出るポイント

WBSは最頻出テーマです。「作業を階層的に分解する構造図」であり、「スケジュール表」ではありません。WBSをもとにスケジュールやコストを見積もるという関係を理解しておきましょう。

WBSで作業を洗い出したら、次はスケジュールを組み立てます。スケジュール管理に使われる代表的なツールとして、アローダイアグラムガントチャートがあります。

アローダイアグラムとクリティカルパス
Section titled “アローダイアグラムとクリティカルパス”

アローダイアグラムは、作業の順序関係と所要日数を矢印(→)で表した図です。どの作業が終わらないと次の作業に取りかかれないか、という依存関係を視覚的に把握できます。

アローダイアグラムでは、開始から終了までの経路が複数存在します。このうち、所要日数が最も長い経路のことをクリティカルパスと呼びます。クリティカルパス上の作業が1日でも遅れると、プロジェクト全体の完了が遅れてしまうため、最も重点的に管理すべき経路です。

クリティカルパスの求め方は次の通りです。

  1. アローダイアグラム上のすべての経路を洗い出す
  2. 各経路の所要日数を合計する
  3. 合計が最も大きい経路がクリティカルパス

試験で出るポイント

クリティカルパスは「最短経路」ではなく「最長経路」です。ここを逆に覚えてしまう受験者が多いので注意しましょう。プロジェクト全体の最短完了日数=クリティカルパスの所要日数、という関係です。

ガントチャートは、横軸に時間(日付)、縦軸に作業名を取り、各作業の予定と実績をバー(横棒)で表した図です。どの作業がいつからいつまで行われるかが一目でわかるため、スケジュール管理に広く使われています。

ガントチャートの特徴は、予定と実績を同じ図の中で比較できる点です。予定のバーと実績のバーを並べることで、計画通りに進んでいるかどうかが視覚的にわかります。

試験で出るポイント

ガントチャートとアローダイアグラムの違いを整理しておきましょう。ガントチャートは「各作業の予定と実績を管理する棒グラフ」、アローダイアグラムは「作業間の依存関係と所要日数を示す矢印図」です。

マイルストーンとは、プロジェクトの進行上の重要な節目(チェックポイント)のことです。マイルストーンは特定の「時点」を指すものであり、作業期間そのものではありません。

たとえば、次のようなものがマイルストーンになります。

  • 要件定義の完了日
  • 設計レビューの実施日
  • テスト開始日
  • システム納品日

マイルストーンを設定しておくことで、プロジェクトの進捗を定期的に確認でき、遅延が発生した場合に早期に対策を打つことができます。

試験で出るポイント

マイルストーンは「作業期間」ではなく「節目となる時点」です。ガントチャート上では、バーではなくひし形(◆)などの記号で表されることが多いです。

プロジェクトでは、予算内で成果物を完成させることも重要です。このための活動をコスト管理と呼びます。コスト管理では、WBSをもとに各作業の費用を見積り、予算を配分し、実際の支出が予算を超えていないかを監視します。

コスト管理と進捗管理を同時に行う手法としてEVM(Earned Value Management:アーンドバリューマネジメント)があります。EVMでは、次の3つの指標を使ってプロジェクトの状況を定量的に評価します。

指標正式名称意味
PVPlanned Value(計画価値)計画上、今の時点までに完了しているはずの作業の予算額
EVEarned Value(出来高)実際に完了した作業の予算額(=出来高)
ACActual Cost(実コスト)実際にかかった費用

これらを比較することで、プロジェクトの状況がわかります。

  • EV < PV の場合 → スケジュールが遅れている(計画より作業が進んでいない)
  • EV < AC の場合 → コストが超過している(完了した作業の割に費用がかかりすぎ)

たとえば、PV=100万円、EV=80万円、AC=90万円の場合、計画より作業が20万円分遅れており、かつ80万円分の仕事に90万円かかっているため、コストも超過していることがわかります。

試験で出るポイント

EVMは過去に出題されたことがあります。PV・EV・ACの3指標の意味と、「EVとPVの比較で進捗がわかる」「EVとACの比較でコスト状況がわかる」という関係を理解しておきましょう。

プロジェクトの成果物が求められる品質基準を満たしているかを管理することを品質管理と呼びます。品質管理では、あらかじめ品質基準を明確にし、レビューやテストを通じて基準を満たしているかを確認します。

品質が不十分なまま成果物を納品すると、後から不具合の修正に多大なコストと時間がかかります。「早い段階で品質を作り込む」ことが品質管理の基本的な考え方です。

プロジェクトには、計画通りに進まなくなるさまざまなリスク(不確実な事象)がつきものです。こうしたリスクに対して事前に備え、適切に対処するための活動をリスクマネジメントと呼びます。

リスクマネジメントは、一般的に次のステップで行います。

  1. リスクの特定 ── プロジェクトに影響を与える可能性のあるリスクを洗い出す
  2. リスクの分析 ── 各リスクの発生確率と影響度を評価する
  3. リスク対応策の策定 ── リスクごとに対応策(回避・軽減・転嫁・受容)を決める
  4. リスクの監視 ── プロジェクト期間中、リスクの状況を継続的に監視する

たとえば「メンバーの急な離脱」というリスクに対しては、「複数人でスキルを共有しておく(軽減)」「派遣会社と事前に契約しておく(転嫁)」といった対応策が考えられます。

試験で出るポイント

リスクマネジメントでは「発生確率」と「影響度」の2軸でリスクを分析する点が重要です。対応策として「回避・軽減・転嫁・受容」の4つがあることも押さえておきましょう。

ここまで学んだスケジュール管理の流れを整理します。WBS → アローダイアグラム → ガントチャートという順序で、計画が具体化していきます。

ステップツール目的
1. 作業の分解WBSやるべき作業を漏れなく洗い出す
2. 順序と日数の整理アローダイアグラム作業の依存関係を明確にし、クリティカルパスを把握する
3. 日程への落とし込みガントチャート各作業の予定と実績をバーで管理する

この流れを理解しておくと、各ツールの役割と位置づけが明確になります。

用語ポイント
プロジェクト有期的かつ独自の成果物を生み出す活動
PMBOKプロジェクトマネジメントの知識体系をまとめた国際的なガイドライン
プロジェクトマネージャプロジェクト全体の責任者
プロジェクト憲章プロジェクトの正式な立ち上げを宣言する文書
プロジェクト計画書スケジュール・予算・品質基準などを定めた詳細な計画文書
ステークホルダプロジェクトに影響を与える/受ける個人・組織
プロジェクトスコープ成果物と作業の範囲の定義
WBS作業を階層的に分解した構成図
アローダイアグラム作業の順序関係と所要日数を矢印で表した図
クリティカルパス所要日数が最も長い経路(プロジェクトの最短完了日数を決める)
ガントチャート予定と実績をバーで示すスケジュール管理図
マイルストーンプロジェクトの重要な節目(時点)
EVMPV・EV・ACの3指標で進捗とコストを定量管理する手法
リスクマネジメントリスクの特定・分析・対応策策定・監視を行う活動
コスト管理予算内で成果物を完成させるための管理活動
品質管理成果物が品質基準を満たしているかを管理する活動
スケジュール管理WBS・アローダイアグラム・ガントチャートを用いた日程管理

試験で出るポイント

プロジェクトマネジメントは毎回2問程度出題される頻出分野です。とくにWBS(作業の分解構造)、クリティカルパス(最長経路)、ガントチャート(予定と実績の比較)の3つは定番テーマですので、それぞれの定義と役割を正確に理解しておきましょう。

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