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サービスデスク(ヘルプデスク)

企業や組織では、日々さまざまなITに関する問い合わせやトラブルが発生します。「パスワードを忘れた」「プリンターが動かない」「新しいソフトウェアの使い方がわからない」など、利用者が困ったときに頼りにする窓口がサービスデスクヘルプデスク)です。

サービスデスクは、ITサービスの利用者と提供者をつなぐ「連絡窓口」としての役割を担います。単に問い合わせを受け付けるだけでなく、障害の受付・記録、対応状況の追跡、解決結果の報告まで一貫して管理するのが特徴です。

サービスデスクの最も重要な考え方が単一窓口、英語ではSPOCSingle Point Of Contact)と呼ばれる仕組みです。

SPOCとは、利用者からのあらゆる問い合わせを「一つの窓口」で受け付けるという原則です。たとえば、ネットワークの問題はネットワーク担当、ソフトウェアの問題はソフトウェア担当……と窓口が分かれていたら、利用者はまず「どこに連絡すればよいか」を自分で判断しなければなりません。SPOCの考え方では、利用者はトラブルの種類に関係なく、まずサービスデスクに連絡すればよいのです。サービスデスクが内容を判断し、適切な担当部署へ振り分けてくれます。

graph LR
  U1["利用者A"]:::base
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  U3["利用者C"]:::base
  SPOC["サービスデスク<br>単一窓口(SPOC)"]:::primary
  NW["ネットワーク担当"]:::base
  SW["ソフトウェア担当"]:::base
  HW["ハードウェア担当"]:::base

  U1 -- "問い合わせ" --> SPOC
  U2 -- "問い合わせ" --> SPOC
  U3 -- "問い合わせ" --> SPOC
  SPOC -- "振り分け" --> NW
  SPOC -- "振り分け" --> SW
  SPOC -- "振り分け" --> HW

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試験で出るポイント

「利用者からの問い合わせに対して単一の窓口として機能する」のがサービスデスクです。サービスデスクは開発部門ではなく、IT運用における利用者対応の窓口であることを押さえましょう。

サービスデスクに寄せられた問い合わせの中には、サービスデスクの担当者だけでは解決できないものもあります。このように、自分の対応範囲を超えた問題を上位の組織や専門部署に引き継ぐことをエスカレーションと呼びます。

エスカレーションには大きく2つの種類があります。

種類内容具体例
機能的エスカレーションより専門的な知識を持つ部署や担当者に引き継ぐサーバー障害をインフラ専門チームに依頼する
階層的エスカレーション上位の管理者や責任者に報告・判断を仰ぐ大規模障害の発生を部長やCIOに報告する

機能的エスカレーションは「技術的に解決できる人に任せる」こと、階層的エスカレーションは「判断や意思決定が必要な上位者に報告する」ことだと理解しておきましょう。

試験で出るポイント

エスカレーションは「利用者への回答」ではなく「組織内部での引き継ぎ・報告」です。選択肢で混同させる問題が出るので注意しましょう。

FAQ(Frequently Asked Questions)とは、利用者からよく寄せられる質問とその回答をまとめたものです。日本語では「よくある質問」と訳されます。

サービスデスクにおいて、FAQは非常に重要な役割を果たします。

  • 利用者にとって:サービスデスクに連絡しなくても、自分で答えを見つけて問題を解決できる(自己解決の促進
  • サービスデスクにとって:同じ質問への対応を減らし、より複雑な問題に集中できる(業務の効率化

たとえば、「Wi-Fiに接続できない場合の対処法」「パスワードのリセット手順」といった定型的な質問をFAQとして公開しておけば、利用者は電話やメールで問い合わせるまでもなく、すぐに解決策を得られます。

チャットボットとは、人間に代わって自動的に会話形式で応答するプログラムのことです。「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉です。

サービスデスクにチャットボットを導入すると、24時間365日、利用者からの問い合わせに自動で対応できるようになります。たとえば、「パスワードを忘れました」と入力すると、チャットボットがリセット手順を案内してくれる、といった使い方です。

チャットボットはFAQと組み合わせて活用されることが多く、よくある質問にはチャットボットが即座に回答し、複雑な問い合わせだけを人間の担当者に引き継ぐという運用が一般的です。

AIOpsとは、AI(人工知能)の技術をIT運用(Operations)に活用することで、運用業務を自動化・効率化する取り組みです。「AI」と「Ops(Operations=運用)」を組み合わせた用語です。

従来のIT運用では、サーバーやネットワークの監視データを人間が確認し、異常があれば手動で対応していました。AIOpsでは、AIが大量の運用データを分析し、異常の検知、原因の特定、さらには障害の予兆を事前に察知するといったことを自動的に行います。

サービスデスクとの関連では、AIOpsによって問い合わせの自動分類や、過去の対応履歴に基づく解決策の自動提案などが可能になります。

試験で出るポイント

AIOpsとDevOps(開発と運用の連携手法)を混同しないようにしましょう。AIOpsは「AIによるIT運用の自動化・効率化」、DevOpsは「開発チームと運用チームの協力体制」を指す異なる概念です。

サービスデスクは、ITサービスの利用者にとって「困ったときの頼れる窓口」です。SPOC(単一窓口)の原則により、利用者はどんな問題でもまずサービスデスクに連絡すればよく、適切な対応を受けられます。自力で解決できない問題はエスカレーションによって専門部署や上位管理者に引き継がれ、組織全体で問題解決にあたります。また、FAQ、チャットボット、AIOpsといった仕組みを活用することで、サービスデスクの対応品質と効率を高めることができます。


過去問に挑戦

Q. AIを利用したチャットボットに関する事例として,最も適切なものはどれか。

  • ア あらゆる物がインターネットを介してつながることによって,外出先でスマートデバイスから自宅のエアコンのスイッチを入れることなどができるようになる。
  • イ コンピュータが様々な動物の画像を大量に認識して学習することによって,犬と猫の画像が判別できるようになる。
  • ウ 商品の操作方法などの質問を書き込むと,詳しい知識をもった人が回答や助言を投稿してくれる。
  • エ 商品の販売サイトで,利用者が求める商品の機能などを入力すると,その内容に応じて推奨する商品をコンピュータが会話型で紹介してくれる。
解答(令和元年)

正解: エ

Q. 利用者からの問合せの窓口となるサービスデスクでは,電話や電子メールに加え,自動応答技術を用いてリアルタイムで会話形式のコミュニケーションを行うツールが活用されている。このツールとして,最も適切なものはどれか。

  • ア FAQ
  • イ RPA
  • ウ エスカレーション
  • エ チャットボット
解答(令和元年)

正解: エ

Q. A社のIT部門では,ヘルプデスクの可用性の向上を図るために,対応時間を24時間に拡大することを検討している。ヘルプデスク業務をA社から受託しているB社は,これを実現するためにチャットボットをB社が導入し,活用することによって,深夜時間帯は自動応答で対応する旨を提案したところ,A社は24時間対応が可能であるのでこれに合意した。合意に用いる文書として,適切なものはどれか。

  • ア BCP
  • イ NDA
  • ウ RFP
  • エ SLA
解答(令和2年)

正解: エ

Q. ある会社ではサービスデスクのサービス向上のために,チャットボットを導入することにした。チャットボットに関する記述として,最も適切なものはどれか。

  • ア PCでの定型的な入力作業を,ソフトウェアのロボットによって代替することができる仕組み
  • イ 人の会話の言葉を聞き取り,リアルタイムに文字に変換する仕組み
  • ウ 頻繁に寄せられる質問とそれに対する回答をまとめておき,利用者が自分で検索できる仕組み
  • エ 文字や音声による問合せ内容に対して,会話形式でリアルタイムに自動応答する仕組み
解答(令和2年)

正解: エ

Q. サービスデスクの業務改善に関する記述のうち,最も適切なものはどれか。

  • ア サービスデスクが受け付けた問合せの内容や回答,費やした時間などを記録して分析を行う。
  • イ 障害の問合せに対して一時的な回避策は提示せず,根本原因及び解決策の検討に注力する体制を組む。
  • ウ 利用者が問合せを速やかに実施できるように,問合せ窓口は問合せの種別ごとにできるだけ細かく分ける。
  • エ 利用者に対して公平性を保つように,問合せ内容の重要度にかかわらず受付順に回答を実施するように徹底する。
解答(令和5年)

正解: ア

Q. サービスデスクを評価するためには適切なKPIを定めて評価する必要がある。顧客満足度を高めるために値が小さい方が良いKPIとして,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

a SLAで合意された目標時間内に対応が完了したインシデント件数の割合

b 1回の問合せで解決ができたインシデント件数の割合

c 二次担当へエスカレーションされたインシデント件数の割合

d 利用者がサービスデスクの担当者につながるまでに費やした時間

  • ア a,b
  • イ a,d
  • ウ b,c
  • エ c,d
解答(令和6年)

正解: エ

Q. クラウドサービスを提供するA社では,操作に関する質問に対して,サービスデスクのオペレーターが電話で対応するだけでなく,ホームページ上にFAQを公開している。サービスデスクの受付時間は午前9時から午後6時までである。このたびサービスデスクのサービスレベルを向上させるために,顧客向けのチャットボットを導入することにした。チャットボット導入の効果として,最も適切なものはどれか。

  • ア オペレーターのチャットのスキルが向上する。
  • イ オペレーターの電話対応のスキルが向上する。
  • ウ 問合せの受付時間を拡大することが可能になる。
  • エ ホームページ上に掲載しているFAQの内容が充実する。
解答(令和7年)

正解: ウ

Q. チャットボットの説明として,最も適切なものはどれか。

  • ア 質問に対して,ソフトウェアがリアルタイムで自動応答する仕組み
  • イ センサーを搭載した機器や制御装置が直接インターネットにつながり,お互いに情報をやり取りする仕組み
  • ウ 人間に代わって荷物を運ぶなどの作業を行う機械的な仕組み
  • エ ルール化された定型的な操作を人間の代わりにソフトウェアが自動で行う仕組み
解答(令和7年)

正解: ア

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