サービスマネジメント
ITサービスとは
Section titled “ITサービスとは”私たちが日常的に使っている電子メール、社内の業務システム、クラウドストレージなど、ITを活用して利用者に提供される機能や仕組みのことをITサービスと呼びます。たとえば「社員がどこからでもメールを送受信できる環境」は、サーバー・ネットワーク・ソフトウェアなど多くのIT要素が組み合わさって実現されている一つのITサービスです。
ITサービスの特徴は、単にシステムが動いていれば良いのではなく、利用者が「必要なときに、安定して、期待どおりに使える」ことが求められる点にあります。
ITサービスマネジメントとは
Section titled “ITサービスマネジメントとは”ITサービスマネジメントとは、ITサービスを効率的かつ安定的に提供・管理するための体系的な取り組みのことです。英語では IT Service Management といい、ITSM と略されることもあります。
たとえば、社内メールシステムを例に考えてみましょう。メールサーバーを設置するだけではITサービスとして十分ではありません。障害が起きたときの対応手順、セキュリティの維持、利用者からの問い合わせ対応など、サービスとして安定的に運営するためには、さまざまな管理活動が必要です。こうした活動全体を体系的にまとめたものがITサービスマネジメントです。
ITサービスマネジメントでは、利用者の視点に立ち、「どのようなサービスを」「どのレベルの品質で」「どのように提供するか」を明確にし、継続的に改善していくことを重視します。
試験で出るポイント
ITIL ── ベストプラクティス集
Section titled “ITIL ── ベストプラクティス集”ITサービスマネジメントを実践するための代表的なガイドラインがITIL(Information Technology Infrastructure Library:アイティル)です。ITILはITサービスマネジメントにおけるベストプラクティス(成功事例に基づく最良の方法論)を集めたもので、ITサービスマネジメントとITILの関係を整理すると、次のようになります。
- ITサービスマネジメント:ITサービスを管理する「考え方・活動全体」
- ITIL:ITサービスマネジメントを実践するための「具体的な手引き」
ITILの定義や類似用語との比較については、次のページで詳しく解説します。
サービスの設計・移行・運用・改善
Section titled “サービスの設計・移行・運用・改善”ITサービスマネジメントでは、ITサービスにはライフサイクル(一連の段階)があると考えます。サービスは作って終わりではなく、提供開始後も継続的に管理・改善していく必要があります。このライフサイクルは大きく4つの段階で捉えることができます。
| 段階 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 設計 | サービスの要件や仕組みを計画する | メールサービスの容量・可用性・セキュリティ要件を決める |
| 移行 | 設計したサービスを本番環境に導入する | テスト環境での検証を経て、全社員へ展開する |
| 運用 | サービスを安定的に提供し、障害やリクエストに対応する | 日常的な監視、障害発生時の復旧対応 |
| 改善 | サービスの品質やプロセスを継続的に見直す | 利用者アンケートをもとに機能を追加・改善する |
PDCAサイクルとの関係
Section titled “PDCAサイクルとの関係”サービスの継続的な改善を実現するために、ITサービスマネジメントではPDCAサイクルの考え方が取り入れられています。PDCAとは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善) の4つのステップを繰り返すことで、業務やサービスの品質を段階的に高めていく手法です。
サービスライフサイクルの各段階は、PDCAサイクルに対応付けることができます。
| PDCA | サービスライフサイクル |
|---|---|
| Plan(計画) | 設計 |
| Do(実行) | 移行・運用 |
| Check(評価) | 運用状況の測定・分析 |
| Act(改善) | 改善 |
PDCAを回し続けることで、ITサービスの品質は「作りっぱなし」にならず、利用者のニーズや環境の変化に合わせて進化し続けることができます。
SLA ── サービス品質の約束
Section titled “SLA ── サービス品質の約束”ITサービスを提供する側と利用する側の間で、サービスの品質を具体的な数値で合意した文書をSLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)と呼びます。
たとえば「月間稼働率99.9%以上」「障害発生時は30分以内に一次対応を開始する」といった内容がSLAに定められます。SLAがあることで、サービス提供者は品質の目標が明確になり、利用者は「どの程度のサービスが保証されるのか」を事前に把握できます。
SLAの詳細については、このセクションの別ページで詳しく解説します。
試験で出るポイント
ITサービスマネジメントは、ITサービスを「安定的に、効率よく、利用者の期待に応えて」提供するための体系的な管理活動です。そのベストプラクティスをまとめたものがITILであり、サービスは設計・移行・運用・改善のライフサイクルを通じてPDCAサイクルで継続的に改善されます。また、サービスの品質はSLAによって具体的に合意されます。次のページからは、ITIL やSLAについてより詳しく見ていきましょう。