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システム環境整備

情報システムは、ソフトウェアやネットワークだけで動いているわけではありません。サーバーやパソコンといったハードウェアを安全に稼働させるためには、電源・空調・物理的なセキュリティなど、設備面の環境整備が欠かせません。

システム環境整備とは、情報システムを安定して運用するために必要な電源設備、空調設備、物理的セキュリティなどを整えることです。どれほど優れたシステムを構築しても、停電で止まったり、高温でサーバーが故障したりしては意味がありません。ここでは、システムを支える設備について一つひとつ見ていきましょう。

情報システムにとって、安定した電力供給は最も基本的な要件です。停電や電圧の異常はシステム障害やデータ消失の原因になるため、いくつかの対策設備が用意されています。

UPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)は、停電が発生したときに一時的に電力を供給する装置です。内部にバッテリーを備えており、停電の瞬間に自動で切り替わって電力を供給します。

ただし、UPSが電力を供給できる時間は数分〜数十分程度と短いのが特徴です。UPSの役割は「長時間にわたって電力を供給し続けること」ではなく、システムを安全にシャットダウンするための時間を稼ぐことにあります。突然の電源断によるデータ破損やハードウェア故障を防ぐための、いわば「つなぎ」の装置です。

試験で出るポイント

UPSは「停電時に一時的に電力を供給し、安全にシステムを停止させるための装置」です。「長時間の電力供給」と書かれた選択肢はひっかけなので注意しましょう。

自家発電装置は、停電時に長時間にわたって電力を供給するための設備です。ディーゼルエンジンやガスタービンなどの発電機を使い、数時間から数日間の電力供給が可能です。

UPSと自家発電装置は、それぞれ役割が異なります。

設備供給時間主な役割
UPS数分〜数十分システムの安全な停止、自家発電装置が起動するまでのつなぎ
自家発電装置数時間〜数日長時間の停電時にシステムの稼働を継続する

実際の運用では、停電が起きるとまずUPSが瞬時に電力を供給し、その間に自家発電装置を起動させるという二段構えの対策がとられます。

試験で出るポイント

UPSと自家発電装置の違いは頻出です。「短時間の応急=UPS」「長時間の代替=自家発電装置」とセットで覚えましょう。
サージ防護(サージプロテクタ)
Section titled “サージ防護(サージプロテクタ)”

サージ防護とは、落雷や電力設備の異常によって発生する**瞬間的な異常高電圧(サージ)**から機器を守る仕組みです。サージが発生すると、パソコンやサーバーなどの精密機器が一瞬で壊れてしまうことがあります。

この対策として使われるのがサージプロテクタと呼ばれる装置です。電源コンセントとIT機器の間に接続し、異常な電圧が流れ込んだときに吸収・遮断して機器を保護します。家庭用の電源タップにもサージ防護機能がついた製品があります。

試験で出るポイント

サージ防護は「停電対策」ではなく「異常電圧(過電圧)対策」です。停電対策であるUPSや自家発電装置と混同しないようにしましょう。

フリーアクセスフロアとは、床を二重構造にして、床下の空間にケーブルを配線できるようにした設備です。サーバールームやデータセンターなどで広く採用されています。

サーバールームには電源ケーブル、ネットワークケーブルなど大量の配線が必要です。これらを床の上に這わせると、つまずきの原因になるだけでなく、配線の変更や追加も困難になります。フリーアクセスフロアを導入することで、次のようなメリットがあります。

  • 床上がすっきりし、安全で作業しやすい環境になる
  • ケーブルの追加・変更がしやすくなる
  • 床下に冷気を通すことで空調効率を高められる

地震の多い日本では、サーバーやネットワーク機器を地震から守る耐震設備が重要です。具体的には、サーバーラック(機器を収納する棚)を床にしっかり固定する耐震固定金具や、免震装置(揺れを吸収する装置)などがあります。

大規模なデータセンターでは、建物自体に免震構造を採用しているケースもあります。

サーバーやネットワーク機器は稼働中に大量の熱を発生します。温度が上がりすぎると機器が故障したり、性能が低下したりするため、適切な温度・湿度を保つ空調設備が不可欠です。

サーバールームでは、一般的なオフィスよりも強力な空調が必要となり、24時間365日稼働する専用の空調設備が設置されます。

サーバールームやデータセンターなど、重要な機器が設置されている場所には、入退室管理の仕組みが必要です。許可されていない人がサーバーに直接触れることを防ぎ、物理的なセキュリティを確保します。

入退室管理には、次のような方法が使われます。

方法説明
ICカード認証社員証などのICカードで入室を許可する
生体認証(バイオメトリクス)指紋や顔などの身体的特徴で本人を確認する
暗証番号(PIN)テンキーで番号を入力して入室する
入退室ログの記録いつ・誰が入退室したかを記録して不正を検知する

セキュリティワイヤは、ノートパソコンなどの持ち運び可能な機器をワイヤで机や柱に固定して盗難を防止する仕組みです。オフィスやコワーキングスペースなど、不特定多数の人が出入りする場所で特に有効です。

多くのノートパソコンには、セキュリティワイヤを接続するための専用スロット(ケンジントンロックとも呼ばれます)が備わっています。

災害対策としての二重化と遠隔地バックアップ

Section titled “災害対策としての二重化と遠隔地バックアップ”

ここまで見てきた設備を整えても、大規模な災害(地震、洪水、火災など)によって施設全体が被害を受ける可能性はゼロにはなりません。そこで重要になるのが、二重化(冗長化)遠隔地バックアップの考え方です。

**二重化(冗長化)**とは、システムや設備を複数用意しておくことで、一方が故障しても他方で運用を継続できるようにすることです。たとえば、サーバーを2台用意して同じ処理を行わせたり、ネットワーク回線を2本引いたりします。

遠隔地バックアップとは、データのバックアップを地理的に離れた場所に保管することです。同じ建物内にバックアップを置いていると、災害で本体もバックアップも同時に失われる恐れがあります。数十〜数百キロ離れた拠点にバックアップを保管することで、同一の災害で両方が被災するリスクを大幅に減らせます。

システム環境整備の主な設備を整理しておきましょう。

分類設備目的
電源対策UPS停電時に短時間の電力を供給し、安全な停止を支援
電源対策自家発電装置停電時に長時間の電力を供給
電源対策サージ防護落雷などの異常電圧から機器を保護
物理的設備フリーアクセスフロア床下にケーブルを配線する二重床構造
物理的設備耐震設備地震から機器を保護
物理的設備空調設備適切な温度・湿度を維持
セキュリティ入退室管理許可されていない人の侵入を防止
セキュリティセキュリティワイヤ機器の盗難を防止
災害対策二重化(冗長化)設備を複数用意し、障害時も運用を継続
災害対策遠隔地バックアップ地理的に離れた場所にデータを保管

試験で出るポイント

この分野では、各設備の「目的」を正確に理解しているかが問われます。特にUPS・自家発電装置・サージ防護の3つは、それぞれ対応する脅威(停電・長時間停電・異常電圧)が異なる点を押さえておきましょう。

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