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企業活動と経営資源

私たちの身の回りには、コンビニエンスストア、自動車メーカー、IT企業など、さまざまな企業が存在します。では、企業はなぜ存在し、何を目指して活動しているのでしょうか。

企業活動の最も基本的な目的は、利益を得ることです。商品やサービスを提供し、その対価として収益を得て、かかった費用を差し引いた利益を生み出します。しかし現代の企業は、利益の追求だけでなく、社会への貢献や環境への配慮なども求められています。

経営資源 ── ヒト・モノ・カネ・情報

Section titled “経営資源 ── ヒト・モノ・カネ・情報”

企業が活動するためには、さまざまな「元手」が必要です。これを経営資源と呼びます。経営資源は大きく4つに分類されます。

経営資源内容具体例
ヒト(人的資源)企業で働く人材社員、経営者、パート・アルバイト
モノ(物的資源)設備や原材料など工場、オフィス、機械、商品
カネ(財務資源)事業に必要な資金自己資本、借入金、売上
情報(情報資源)経営判断に必要なデータや知識顧客データ、市場調査、ノウハウ

ITパスポート試験では、とくに「情報」が経営資源の一つであるという点がよく問われます。ITの発展により、情報を的確に収集・分析・活用する力が、企業の競争力を大きく左右するようになりました。

試験で出るポイント

「経営資源は何か」を問う問題では、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つをセットで覚えておきましょう。選択肢に「技術」「時間」などが混ざることがあります。

企業が日々の活動で判断に迷ったとき、立ち返るべき「原点」となるのが経営理念(企業理念)です。経営理念とは、企業の存在意義や大切にする価値観を言葉にしたものです。

近年では、経営理念をより具体的に体系化したMVVというフレームワークが広く使われています。

要素意味問いかけ
ミッション(Mission)企業が果たすべき使命・役割「私たちは何のために存在するのか?」
ビジョン(Vision)企業が目指す将来の姿「私たちはどこへ向かうのか?」
バリュー(Value)行動の基準となる価値観「私たちは何を大切にするのか?」

たとえば、あるIT企業のMVVは次のようになります。

  • ミッション:「テクノロジーで社会の課題を解決する」
  • ビジョン:「2030年までにすべての人がデジタルの恩恵を受けられる世界をつくる」
  • バリュー:「挑戦を楽しむ・ユーザー第一・誠実であること」

ミッションが「なぜやるか」、ビジョンが「どこを目指すか」、バリューが「どう行動するか」を示している点を押さえておきましょう。

試験で出るポイント

ミッション・ビジョン・バリューの違いは頻出です。とくに「ビジョン=将来のありたい姿」という定義を正確に理解しておきましょう(2025年春 問29で出題)。

MVVと関連して、近年注目されている経営の考え方が2つあります。

パーパス経営とは、企業の「存在意義(パーパス)」を経営の中心に据える考え方です。ミッションが「何をするか」に重点を置くのに対し、パーパスは「なぜ社会に存在するのか」という、より根源的な問いに答えるものです。単なる利益追求ではなく、社会における自社の役割を明確にすることで、社員の意欲向上や顧客からの共感を得ることを目指します。

人的資本経営とは、従業員を「コスト」ではなく「資本(=投資すべき資産)」として捉える経営手法です。従来、人件費は「削減すべきコスト」と見なされがちでしたが、人的資本経営では、教育・研修や働きやすい環境づくりへの投資が企業価値の向上につながると考えます。

企業は、自社だけで孤立して活動しているわけではありません。さまざまな人々や組織と関わりながら事業を行っています。こうした企業活動に利害関係を持つすべての関係者をステークホルダ(利害関係者)と呼びます。

企業は、株主だけでなく、すべてのステークホルダの期待に応えるバランスの取れた経営が求められます。

企業の社会的責任(CSR)と社会的責任投資(SRI)

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企業は利益を追求するだけでなく、社会や環境に対して責任ある行動をとることが期待されています。この考え方をCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)と呼びます。

CSRの具体的な活動には、次のようなものがあります。

  • 法令を遵守し、公正な取引を行う
  • 環境に配慮した事業活動を行う(省エネ、リサイクルなど)
  • 地域社会への貢献活動(ボランティア、寄付など)
  • 従業員の人権を尊重し、働きやすい職場をつくる

CSRに積極的な企業を選んで投資する手法をSRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)といいます。SRIでは、財務的な指標だけでなく、環境・社会・ガバナンスへの取り組みも投資判断の基準とします。

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択された、2030年までに達成を目指す17の国際目標です。「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」「気候変動に具体的な対策を」などの目標が含まれています。

企業にとってSDGsは、社会貢献の指針であると同時に、新たなビジネスチャンスを見つけるきっかけにもなります。たとえば、環境負荷の少ない製品の開発は、SDGsへの貢献であると同時に、環境意識の高い消費者から支持を得る競争力にもつながります。

グリーンITとカーボンフットプリント

Section titled “グリーンITとカーボンフットプリント”

ITと環境の関わりについても、試験で問われることがあります。

グリーンITとは、IT機器の省電力化や、ITを活用した環境負荷の低減に取り組む考え方です。グリーンITには2つの側面があります。

  1. IT自体の省エネ化:サーバーの電力消費を抑える、不要なPCの電源を切るなど
  2. ITによる社会全体の省エネ化:テレワークの推進で通勤の排出ガスを削減する、ペーパーレス化で紙の消費を減らすなど

カーボンフットプリントとは、製品やサービスのライフサイクル全体(原材料の調達から廃棄まで)で排出される温室効果ガスの量をCO₂に換算して表示する仕組みです。消費者がより環境にやさしい製品を選ぶための指標となります。

ディスクロージャーとは、企業が経営状況や財務情報などを社会に対して公開することです。日本語では「情報開示」と訳されます。

企業が情報を公開することで、株主や投資家は適切な投資判断ができ、顧客や取引先は安心して取引できます。とくに上場企業には、法律によって財務情報の開示が義務づけられています。

公開された情報が正しいかどうかを、独立した第三者が確認する手続きが監査です。監査には、外部の監査法人が行う「外部監査」と、社内の部門が行う「内部監査」があります。

株主総会は、株式会社の最高意思決定機関です。株主が集まり、経営方針の承認、取締役の選任、利益配分(配当)の決定などを行います。年に1回開催される「定時株主総会」と、必要に応じて開催される「臨時株主総会」があります。

決算は、一定期間(通常1年間)の企業の経営成績と財政状態をまとめる手続きです。決算の結果は「財務諸表」として公表され、ステークホルダに企業の状況を伝える重要な役割を果たします。

コーポレートブランドとは、企業全体に対して消費者や社会が抱くイメージや信頼のことです。個々の商品のブランド(プロダクトブランド)とは異なり、「あの会社の製品なら安心だ」「あの企業は社会貢献に積極的だ」といった、企業そのものへの評価を指します。

コーポレートブランドは、経営理念やCSR活動、製品の品質、従業員の対応など、あらゆる企業活動の積み重ねによって築かれます。良いブランドイメージは顧客の信頼を高め、人材の採用にもプラスに働きます。

試験で出るポイント

この分野では、各用語の「意味」を問う問題が中心です。とくにCSR・SDGs・MVV・ステークホルダは頻出です。用語の定義を正確に理解しておきましょう。

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