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社会におけるIT利活用の動向

私たちが暮らす社会は、技術の革新によって大きく変わってきました。18世紀の蒸気機関(第1次産業革命)、19世紀の電力による大量生産(第2次産業革命)、20世紀後半のコンピュータによる自動化(第3次産業革命)と、技術革新のたびに産業構造や人々の暮らしは大きく変化してきました。

そして現在、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータなどのデジタル技術が社会全体を変革しつつあります。この変革を第4次産業革命と呼びます。

第4次産業革命の特徴は、単に工場の生産を自動化するだけでなく、医療・交通・農業・行政サービスなど、あらゆる生活領域にITが浸透し、社会の仕組みそのものを変えていく点にあります。

試験で出るポイント

第4次産業革命は「IoT・AI・ビッグデータなどによる社会全体の変革」です。2023年 問35では、「医療やインフラ、交通システムなどの生活における様々な領域でインターネットやAIを活用する」という選択肢が正解でした。第3次(コンピュータによる自動化)との違いを押さえましょう。

日本政府は、第4次産業革命の技術を活用して実現を目指す未来の社会像としてSociety 5.0を提唱しています。

Society 5.0は、人類社会の発展段階を次のように整理し、その5番目の社会として位置づけられています。

段階社会の名称特徴
Society 1.0狩猟社会狩りや採集で生活
Society 2.0農耕社会農業による定住生活
Society 3.0工業社会工場での大量生産
Society 4.0情報社会コンピュータ・インターネットの普及
Society 5.0超スマート社会サイバー空間と現実空間が高度に融合

超スマート社会とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させることで、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会です。たとえば、現実世界のセンサーから集めた膨大なデータをAIが分析し、その結果を現実世界にフィードバックすることで、交通渋滞の解消や高齢者の見守り、最適なエネルギー管理などを実現します。

Society 5.0の実現に向けて、あらゆる意思決定をデータに基づいて行うデータ駆動型社会(データドリブン社会)への移行が進んでいます。

従来は、経験や勘に頼って判断していたことも、IoTセンサーやSNSなどから収集した大量のデータを分析・活用することで、より正確で効率的な意思決定が可能になります。たとえば、農業分野では土壌の水分量や気温のデータをリアルタイムで収集・分析し、最適なタイミングで水やりや収穫を行う「スマート農業」が広がっています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

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DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)とは、IoTやAIなどのデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや組織、企業文化を根本から変革し、新たな価値を生み出すことです。

DXは単なる「ITの導入」や「業務のデジタル化」とは異なります。たとえば、紙の書類をExcelに置き換えるだけではDXとは呼びません。ビジネスの仕組みそのものを変え、顧客に新しい価値を提供することがDXの本質です。

具体例としては、タクシー会社が配車アプリを導入して顧客体験を根本から変えたり、銀行がスマートフォンだけで完結する口座開設サービスを始めたりすることが挙げられます。

試験で出るポイント

DXは「デジタル技術によるビジネスモデルの変革」がキーワードです。2023年 問11では「IoTやAIといったITを活用し、戦略的にビジネスモデルの刷新や新たな付加価値を生み出す」という定義でDXが正解でした。「デジタルサイネージ」「デジタルディバイド」などの紛らわしい用語と区別しましょう。

近年、環境問題への対応としても技術革新が求められています。

GX(Green Transformation:グリーントランスフォーメーション)とは、温室効果ガスの排出削減と経済成長の両立を目指し、社会経済システムを変革することです。DXが「デジタル技術による変革」なら、GXは「脱炭素に向けた変革」と言えます。

GXの目標となるのがカーボンニュートラルです。カーボンニュートラルとは、温室効果ガス(CO2など)の排出量と吸収量を均衡させ、排出量を実質ゼロにすることです。日本政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言しています。

企業においては、再生可能エネルギーの導入、省エネ技術の活用、サプライチェーン全体でのCO2排出量の可視化などがGXの取り組み例です。

社会全体でITを活用していくために、日本ではいくつかの重要な法律や制度が整備されています。

デジタル社会形成基本法は、デジタル社会の形成に関する基本理念や国・地方公共団体の責務を定めた法律です。2021年に施行され、デジタル庁の設置根拠にもなっています。「すべての国民がデジタル技術の恩恵を享受できる社会」の実現を目指しており、行政サービスのデジタル化やデジタル人材の育成などを推進する基盤となっています。

官民データ活用推進基本法は、国や地方公共団体、民間事業者が保有するデータ(官民データ)の適正かつ効果的な活用を推進するための法律です。行政手続きのオンライン化や、オープンデータの推進などが定められています。

ここでいう「官民データ」とは、国の省庁や地方公共団体が保有するデータだけでなく、民間企業や独立行政法人、大学などが保有するデータも含みます。

試験で出るポイント

2025年 問3では「官民データを所有しているもの」として、県庁・大学・電力事業者・独立行政法人のすべてが正解でした。「官民データ」の「民」には民間企業や大学も含まれることを押さえましょう。

スーパーシティ法(国家戦略特別区域法の改正)は、AIやビッグデータなどの先端技術を活用し、行政手続き・交通・医療・教育などの幅広い分野にわたってまるごと未来の社会を先行実現する「スーパーシティ」構想を推進するための法律です。住民目線で複数の分野にまたがるサービスを一体的に提供することが特徴で、Society 5.0の先行的な実現を目指しています。

キーワード意味
第4次産業革命IoT・AI・ビッグデータなどによる社会全体の変革
Society 5.0サイバー空間と現実空間が融合した超スマート社会
データ駆動型社会データに基づいて意思決定を行う社会
DXデジタル技術によるビジネスモデルの根本的な変革
GX脱炭素に向けた社会経済システムの変革
カーボンニュートラル温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること
デジタル社会形成基本法デジタル社会形成の基本理念と国の責務を定めた法律
官民データ活用推進基本法官民データの活用推進を定めた法律
スーパーシティ法先端技術で未来社会を先行実現する構想の法的根拠

試験で出るポイント

この分野では「DX」「Society 5.0」「第4次産業革命」が特に頻出です。それぞれの定義を正確に区別しましょう。DX=ビジネスモデルの変革、Society 5.0=サイバー×フィジカル融合の超スマート社会、第4次産業革命=IoT・AIなどによる産業構造の変革、と整理しておくと問題に対応しやすくなります。

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