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情報倫理

インターネットやSNSの普及、AIの発展により、私たちは膨大な情報を手軽に発信・受信できるようになりました。しかし、その便利さの裏には、情報の取り扱いに関するさまざまなリスクが潜んでいます。情報倫理とは、データ駆動型社会において情報を適切に扱うために守るべき法令・社会的規範・モラルの総称です。

インターネット上のモラルとマナー

Section titled “インターネット上のモラルとマナー”

ネチケット(netiquette)とは、「ネットワーク」と「エチケット」を合わせた造語で、インターネット上で守るべきマナーやルールのことです。具体的には、次のような行動が求められます。

  • 他者を誹謗中傷しない
  • 個人情報(自分や他人の)をむやみに公開しない
  • 著作権を侵害するコンテンツを無断で共有しない
  • チェーンメールを転送しない

チェーンメールとは、「このメールを○人に転送してください」といった内容で、次々と転送を促すメールのことです。不安をあおるデマや迷惑行為の原因となるため、受け取っても転送せず削除することが適切な対応です。

ソーシャルメディアポリシーソーシャルメディアガイドライン)とは、企業や組織がSNSの利用に関して定める行動指針のことです。従業員がSNS上で不適切な発信をすると、企業の信用を大きく損なう可能性があるため、多くの企業がこのポリシーを策定しています。

ソーシャルメディアポリシーに含まれる主な内容は次のとおりです。

  • 業務上の秘密情報をSNSに投稿しないこと
  • 顧客や取引先の情報を許可なく公開しないこと
  • 企業の公式見解と個人の意見を区別すること
  • 誹謗中傷や差別的な発言をしないこと

デジタルタトゥーとは、インターネット上に一度公開された情報が、半永久的に残り続けることを刺青(タトゥー)にたとえた表現です。

SNSに投稿した写真や発言は、本人が削除しても、他者がスクリーンショットを保存していたり、検索エンジンのキャッシュに残っていたりすることがあります。就職活動や社会的評価に悪影響を及ぼすこともあるため、情報を発信する前に慎重に考えることが重要です。

試験で出るポイント

デジタルタトゥーは「ネット上の情報は完全に消すことが困難」という特性を表す用語です。一度投稿した情報は取り消せないという意識を持つことが大切です。

インターネット上には、正確な情報だけでなく、意図的に作られた誤情報も溢れています。

フェイクニュースとは、事実ではない情報を、あたかも本当のニュースであるかのように発信・拡散される虚偽の報道や情報のことです。政治的な目的や広告収入の獲得などの動機で作成されることがあり、社会に混乱を引き起こす原因となります。

ファクトチェックとは、報道や公的な発言、SNS上の情報などについて、事実に基づいているかどうかを検証する取組のことです。フェイクニュースの蔓延を防ぐ手段として、報道機関やNPOによるファクトチェック活動が行われています。

エコーチェンバー(echo chamber、反響室)とは、SNSなどで同じ意見や価値観を持つ人ばかりと交流することで、自分の考えが正しいと強化されていく現象のことです。反対意見に触れる機会が減り、偏った考え方が増幅されるリスクがあります。

フィルターバブル(filter bubble)とは、検索エンジンやSNSのアルゴリズムが利用者の好みに合った情報を優先的に表示することで、利用者が自分の興味関心に合った情報の「泡」(バブル)に包まれてしまう現象です。

エコーチェンバーは人の行動(同じ意見の人とだけつながる)によって生じ、フィルターバブルは技術的な仕組み(アルゴリズム)によって生じるという違いがあります。どちらも、多様な情報に触れる機会を減らすという点で共通しています。

試験で出るポイント

エコーチェンバーは「同じ意見の人ばかりと交流して考えが偏る」現象、フィルターバブルは「アルゴリズムが好みの情報だけを表示する」現象です。両者の違いを区別できるようにしましょう。

学術研究やビジネスの場面では、データの取り扱いに関する倫理が求められます。

データのねつ造・改ざん・盗用

Section titled “データのねつ造・改ざん・盗用”
不正行為内容
ねつ造実際には存在しないデータや実験結果を作り上げること
改ざんデータや実験結果を都合よく書き換えること
盗用他者の研究成果やデータを無断で自分のものとして使用すること

これらは研究不正と呼ばれ、科学技術の信頼を根底から揺るがす重大な問題です。IT分野においても、テストデータの改ざんやベンチマーク結果のねつ造などが問題となることがあります。

ヘイトスピーチとは、特定の民族、国籍、人種、宗教などの属性を持つ人々に対して、差別的な言動や憎悪をあおる表現のことです。2016年に施行されたヘイトスピーチ解消法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)では、ヘイトスピーチの解消に向けた取組の推進が定められています。

インターネット上には、青少年に有害な情報を含むサイトが存在します。こうしたサイトへのアクセスを制限する技術的な手段があります。

手段内容
フィルタリング有害と判定されたWebサイトへのアクセスを自動的にブロックする技術
ペアレンタルコントロール保護者が子どものインターネット利用を管理・制限する機能

青少年インターネット環境整備法により、18歳未満の青少年が使用する携帯電話やスマートフォンには、原則としてフィルタリングサービスの利用が求められています。

情報流通プラットフォーム対処法

Section titled “情報流通プラットフォーム対処法”

インターネット上で名誉毀損やプライバシー侵害などの権利侵害が起きた場合に、プロバイダの責任範囲と対応手続を定めた法律として情報流通プラットフォーム対処法(旧:プロバイダ責任制限法)があります。発信者情報開示請求送信防止措置などの制度が定められており、SNS上の誹謗中傷問題への対処にも活用されています。

この法律の詳細は その他の情報セキュリティ関連法規 で解説しています。

AIが学習に利用するデータや、AIが生成したデータについても、情報倫理の観点から注意が必要です。

観点留意事項
個人情報保護AI学習データに個人情報が含まれていないか確認する。AI生成物に個人情報が含まれるリスクに注意する
プライバシー公開されたデータであっても、大量に収集・分析することでプライバシーを侵害する可能性がある
秘密保持業務上の機密情報をAIサービスに入力することで、情報が外部に漏洩するリスクがある

ELSI(倫理的・法的・社会的な課題)

Section titled “ELSI(倫理的・法的・社会的な課題)”

ELSI(エルシー、Ethical, Legal and Social Issues)とは、新しい科学技術が社会に与える倫理的・法的・社会的な課題のことです。

AIやビッグデータの活用が進む中で、次のような課題が議論されています。

  • AIが判断を誤った場合の責任は誰にあるのか(倫理的課題)
  • AIによる自動判断が差別を助長しないか(社会的課題)
  • AIが生成した著作物の権利は誰に帰属するのか(法的課題)

ELSIの視点は、技術の開発段階から社会への影響を考慮し、責任ある技術の活用を目指すものです。

試験で出るポイント

ELSIは「Ethical(倫理的), Legal(法的), Social(社会的) Issues(課題)」の略です。AIやビッグデータなどの新技術がもたらす社会的課題を包括的に捉える概念として覚えておきましょう。

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