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マーケティングの基礎

企業が製品やサービスを売るには、「良いものを作れば売れる」だけでは不十分です。誰に、何を、どのように届けるかを戦略的に考える必要があります。その考え方の体系がマーケティングです。

マーケティングとは、顧客のニーズを把握し、それに応える製品やサービスを開発・提供し、顧客との関係を構築する一連の活動のことです。単なる「宣伝」や「販売促進」にとどまらず、市場調査から製品企画価格設定流通販売促進まで、ビジネスの幅広い領域をカバーします。

マーケティングの基本プロセス

Section titled “マーケティングの基本プロセス”

マーケティングは一般に、次のような流れで進められます。

  1. 市場調査(マーケットリサーチ): 顧客のニーズや市場の動向を調査・分析する
  2. STP分析: 市場を細分化し、ターゲットを決め、自社の位置づけを明確にする
  3. マーケティングミックス(4P): 製品・価格・流通・販売促進の戦略を策定する
  4. 実行と評価: 戦略を実行し、成果を測定・改善する

STP分析は、マーケティング戦略の基本フレームワークで、セグメンテーションターゲティングポジショニングの頭文字をとったものです。

ステップ内容具体例
S: セグメンテーション(市場細分化)市場を年齢・性別・地域・ライフスタイルなどの基準で細かく分ける20代女性、都市部在住、健康志向
T: ターゲティング(標的市場の選定)細分化した市場の中から、自社が狙うべき市場を選ぶ健康志向の20代女性を主要ターゲットに設定
P: ポジショニング(位置づけの明確化)ターゲット市場における自社製品の独自の位置づけを定める「手軽に栄養が摂れるプレミアムスムージー」

試験で出るポイント

STPの各ステップの意味を正確に覚えましょう。特にポジショニングは「自社製品の差別化ポイントを明確化する」ステップです。試験では「差別化ポイントの明確化」という表現で問われることがあります。

マーケティングミックス(4P・4C)

Section titled “マーケティングミックス(4P・4C)”

マーケティング戦略を具体化するためのフレームワークとして、4P4Cがあります。

4Pは、マーケティングミックスの基本フレームワークで、売り手側の視点から戦略を整理します。

4P意味内容
Product(製品)何を売るか製品の品質、デザイン、ブランド、パッケージ、アフターサービス
Price(価格)いくらで売るか定価、割引、支払条件
Place(流通)どこで売るか販売チャネル、店舗、オンラインショップ、物流
Promotion(販売促進)どう知らせるか広告、PR、人的販売、セールスプロモーション

4Cは、4Pを買い手側(顧客側)の視点から捉え直したフレームワークです。

4P(売り手)4C(買い手)意味
Product(製品)Customer Value(顧客にとっての価値)顧客が得られるメリットや体験
Price(価格)Cost(顧客の負担)金銭的コストだけでなく時間や手間も含む
Place(流通)Convenience(利便性)顧客にとっての購入のしやすさ
Promotion(販売促進)Communication(対話)企業と顧客の双方向のコミュニケーション

試験で出るポイント

4Pは「売り手(企業)側」の視点、4Cは「買い手(顧客)側」の視点です。4Pと4Cの対応関係(Product⇔Customer Value、Price⇔Cost、Place⇔Convenience、Promotion⇔Communication)を押さえましょう。

プロダクトライフサイクルとは、製品が市場に投入されてから衰退するまでの売上と利益の推移を、4つの段階に分けて捉える考え方です。

段階特徴マーケティング戦略
導入期製品が市場に登場したばかり。認知度が低く売上は少ない広告・PRで認知度を高める
成長期売上が急速に伸びる。競合も参入してくる差別化を図り、市場シェアを拡大する
成熟期売上の伸びが鈍化し、市場が飽和するブランド強化やコスト削減で利益を維持する
衰退期売上が減少し、利益も低下する撤退の判断や、新製品への切替えを検討する

顧客満足CS: Customer Satisfaction)とは、顧客が製品やサービスに対して感じる満足の度合いです。顧客の期待を上回る価値を提供することで、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得につながります。

CX(Customer Experience、顧客体験)とは、顧客が企業やブランドとのすべての接点で得る体験の総体を指します。製品の購入前の情報収集から、購入時の対応、購入後のサポートまで、顧客が企業と関わるあらゆる場面での体験が含まれます。

UX(ユーザーエクスペリエンス)

Section titled “UX(ユーザーエクスペリエンス)”

UX(User Experience)とは、製品やサービスの利用を通じてユーザーが得る体験のことです。使いやすさ(ユーザビリティ)だけでなく、楽しさ、感動、満足感など、利用者の感情や印象を含む包括的な概念です。

用語範囲
CS(顧客満足)製品・サービスへの満足度アンケートでの満足度評価
CX(顧客体験)企業との全接点の体験店舗の雰囲気、Webサイトの使いやすさ、アフターサポート
UX(ユーザー体験)製品・サービスの利用体験アプリの操作感、Webサイトのデザイン

カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品やサービスを認知してから購入・利用に至るまでの一連の行動・思考・感情を時系列で可視化した図です。

顧客がどの段階でどのような接点(タッチポイント)を持ち、何を感じているかを把握することで、CXの改善点を発見できます。

RFM分析とは、顧客データベースを活用して顧客を分類・評価する手法です。次の3つの指標で顧客の購買行動を分析します。

指標意味高い場合
R: Recency(最終購買日)最後に購入した日がどれだけ最近か最近購入している → アクティブな顧客
F: Frequency(購買頻度)どれくらい頻繁に購入しているか頻繁に購入 → ロイヤルティの高い顧客
M: Monetary(累計購買金額)これまでにいくら購入したか購入金額が多い → 優良顧客

RFM分析により、優良顧客への特別なサービス提供や、離反しそうな顧客への再アプローチなど、顧客セグメントに応じた施策を行うことができます。

アンゾフの成長マトリクスは、企業の成長戦略を「製品」と「市場」の2軸で整理するフレームワークです。

既存市場新規市場
既存製品市場浸透戦略: 既存製品を既存市場でさらに売り込む市場開拓戦略: 既存製品を新しい市場に展開する
新規製品製品開発戦略: 新製品を既存市場に投入する多角化戦略: 新製品で新しい市場に参入する

たとえば、国内で販売しているスマートフォンを海外市場に展開する場合は「市場開拓戦略」、既存の顧客層に対して新しい周辺機器を開発・販売する場合は「製品開発戦略」にあたります。

試験で出るポイント

アンゾフの成長マトリクスは「既存/新規 × 製品/市場」の4象限で成長戦略を分類します。特に多角化戦略(新製品×新市場)は最もリスクが高い戦略であることを覚えておきましょう。

ブランド戦略とは、企業や製品のブランド価値を高め、競合との差別化を図る戦略です。ブランドが確立されると、顧客はその企業の製品を信頼して選ぶようになり、価格競争に巻き込まれにくくなります。

オピニオンリーダーとは、ある分野において他者の意見形成や購買行動に大きな影響力を持つ人物のことです。インフルエンサーとも呼ばれ、SNS上での発信が消費者の購買行動に影響を与える現象は、現代のマーケティングにおいて重要な要素となっています。

オムニチャネルとは、実店舗、オンラインショップ、SNS、カタログなど、すべての販売チャネルを統合し、顧客にシームレスな購買体験を提供する戦略です。

たとえば、オンラインで商品を注文して店舗で受け取る、店舗で試着した商品をオンラインで購入するなど、チャネルの垣根なく買い物ができる環境を整えることを目指します。

試験で出るポイント

マーケティングの基礎では、STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)と4P(Product・Price・Place・Promotion)が最も重要です。それぞれの意味と役割を正確に覚えましょう。

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