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業務プロセス

企業ではさまざまな仕事が日々行われています。たとえばネットショップであれば、「注文を受ける → 在庫を確認する → 商品を梱包する → 発送する → 入金を確認する」といった一連の流れがあります。このように、ある目的を達成するために行われる業務の手順や流れのことを業務プロセスと呼びます。

業務プロセスを正しく把握することは、業務の効率化や改善の第一歩です。しかし、業務は複雑に絡み合っていることが多く、頭の中だけで理解しようとすると全体像を見失いがちです。そこで重要になるのが、業務プロセスを「見える化」するモデリングという手法です。

モデリングとは、ビジネスの仕組みや業務プロセスを図や記号を使って視覚的に表現することです。複雑な現実の業務を、理解しやすいモデル(模型)として描き出す作業ともいえます。

モデリングを行うメリットには、次のようなものがあります。

  • 業務の全体像を関係者全員で共有できる
  • 問題点やムダな作業を発見しやすくなる
  • 情報システムを導入する際の設計に役立つ

モデリングにはさまざまな手法がありますが、ITパスポート試験ではE-R図DFDBPMNの3つが重要です。それぞれの特徴と違いを押さえておきましょう。

E-R図(Entity Relationship Diagram)は、データ同士の関係を視覚的に表す図です。「E」はEntity(実体)、「R」はRelationship(関連)を意味します。

E-R図では、業務で扱うデータの「かたまり」をエンティティ(実体)として四角形で表し、エンティティ同士の関係をひし形や線で結んで表現します。

たとえば、書店の業務を考えてみましょう。「顧客」と「書籍」というエンティティがあり、顧客は書籍を「購入する」という関係で結ばれます。さらに、1人の顧客が複数の書籍を購入できるため、「1対多」の関係になります。

[E-R図の例を挿入]

E-R図は、データベースを設計する際の基礎となる図であり、業務で扱う情報の構造を整理するために使われます。

試験で出るポイント

E-R図は「データの関係」を表す図です。業務の「流れ」を表すDFDやBPMNとは目的が異なるので、混同しないようにしましょう。

DFD(Data Flow Diagram:データフロー図)は、業務におけるデータの流れを視覚的に表す図です。「どこからデータが来て、どこで処理され、どこへ出ていくか」を明確にします。

DFDでは、4つの基本記号を使います。

記号意味図形
プロセスデータを処理する機能丸(円)
データフローデータの流れ矢印
データストアデータの保管場所二本線(平行線)
外部エンティティシステムの外にある存在四角形

たとえば、オンラインショップの注文処理をDFDで表すと、「顧客(外部エンティティ)」から「注文データ(データフロー)」が「注文受付(プロセス)」に流れ、処理された結果が「注文データベース(データストア)」に保存される、という形になります。

[DFDの例を挿入]

DFDの特徴は、データの流れだけに注目し、処理の順番(時間の流れ)は表さないという点です。「何がどこへ流れるか」を把握するのに適しています。

試験で出るポイント

DFDは「データの流れ」を表す図です。処理の順序や条件分岐は表現しません。「業務の手順」を表したい場合はBPMNやフローチャートを使います。

BPMN(Business Process Model and Notation)

Section titled “BPMN(Business Process Model and Notation)”

BPMN(Business Process Model and Notation)は、業務プロセスの流れを国際標準の記法で表す図です。フローチャートに似ていますが、業務の担当者(役割)やイベント(出来事)をより詳しく表現できるのが特徴です。

BPMNの主な構成要素は以下のとおりです。

要素意味図形
イベント業務の開始・終了・途中の出来事丸(円)
アクティビティ実際に行う作業角丸四角形
ゲートウェイ条件分岐や並列処理ひし形
フロー処理の順序矢印
スイムレーン担当者や部門の区分横長の帯(レーン)

たとえば、「顧客から問い合わせを受ける → 内容を確認する → 技術的な質問であれば技術部へ転送する → 回答を作成する → 顧客に返答する」という業務をBPMNで表すと、スイムレーンで「カスタマーサポート部」と「技術部」を分け、それぞれの役割ごとに処理の流れを描けます。

BPMNは国際標準(ISO 19510)として定められているため、組織や国を超えて業務プロセスを共有できるメリットがあります。

試験で出るポイント

E-R図は「データの関係」、DFDは「データの流れ」、BPMNは「業務の手順と担当者」を表す図です。3つのモデリング手法の違いを整理して覚えておきましょう。

ここまで学んだ3つのモデリング手法を、比較表で整理します。

手法何を表すか主な用途
E-R図データ同士の関係(構造)データベース設計、情報の整理
DFDデータの流れシステム分析、業務のデータ把握
BPMN業務の手順・流れ・担当者業務プロセスの可視化・改善

E-R図が「静的な関係」を、DFDが「データの動き」を、BPMNが「業務の手順」を表すと理解すれば、それぞれの使い分けが明確になります。

モデリングで業務プロセスを見える化したら、次はそれを分析し、改善につなげていきます。ここでは、業務プロセスの分析・改善に関する3つの重要な概念を学びます。

BPR(Business Process Reengineering:ビジネスプロセスリエンジニアリング)とは、既存の業務プロセスを根本から見直し、抜本的に再設計することです。部分的な改善ではなく、「そもそもこの業務は必要か?」「ゼロから設計し直したらどうなるか?」という視点で、業務の仕組みそのものを大きく変革します。

たとえば、紙の伝票を何部門にも回覧して承認を得ていた業務を、電子承認システムに置き換えて承認ステップ自体を削減するといった改革がBPRにあたります。

BPRのポイントは、「今ある業務の改善」ではなく「ゼロベースでの再構築」であるという点です。

BPM(Business Process Management:ビジネスプロセスマネジメント)とは、業務プロセスを継続的に管理・改善していく取り組みのことです。BPRが一度きりの大きな変革であるのに対し、BPMは「計画 → 実行 → 評価 → 改善」のサイクルを繰り返しながら、少しずつ業務を最適化していきます。

BPMでは、業務プロセスをモデリングし、実行状況をモニタリング(監視)し、問題があれば改善するという流れを継続的に行います。PDCAサイクルに似た考え方です。

概念特徴アプローチ
BPR業務プロセスの抜本的な再設計一度きりの大きな変革
BPM業務プロセスの継続的な管理・改善繰り返しの小さな改善

試験で出るポイント

BPRは「根本的・抜本的な見直し」、BPMは「継続的な管理・改善」です。「根本から作り直す=BPR」「日々改善し続ける=BPM」と区別しましょう。

ワークフローとは、業務の一連の手順や流れ、またはそれを管理する仕組みのことです。「誰が、どの順番で、何をするか」を明確に定めたものがワークフローです。

たとえば、経費精算の申請から承認までの流れを考えてみましょう。

  1. 社員が経費精算書を作成する
  2. 上司が内容を確認し、承認する
  3. 経理部が最終チェックを行い、支払い処理をする

このような手順を定め、電子的に管理するシステムをワークフローシステムと呼びます。ワークフローシステムを導入することで、申請・承認の進捗状況がリアルタイムで把握でき、紙の書類を回覧する手間が省けます。

ワークフローの電子化は、BPRやBPMを実現するための具体的な手段の一つでもあります。業務プロセスをモデリングし、ワークフローシステムとして実装することで、業務の効率化と標準化を同時に達成できます。

試験で出るポイント

この分野では、モデリング手法の違い(E-R図・DFD・BPMN)と、業務改善の考え方の違い(BPR・BPM)が頻出です。それぞれの「目的」と「特徴」をセットで理解しておきましょう。

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