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ソリューションの形態

ソリューションにはさまざまな「届け方」がある

Section titled “ソリューションにはさまざまな「届け方」がある”

前のページで学んだように、ソリューションとは顧客の課題をITで解決することです。しかし、その解決策をどのような形で届けるかには、さまざまな方法があります。自社内にサーバーを置いて運用する方法もあれば、インターネット経由でサービスとして利用する方法もあります。

このページでは、ソリューションの「提供形態」を体系的に整理していきます。ITパスポート試験では、それぞれの形態の特徴と違いを正確に理解しているかが問われます。

SI(システムインテグレーション)

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SI(System Integration:システムインテグレーション)とは、顧客の業務を分析し、最適な情報システムの企画・設計・開発・運用・保守までを一括して請け負うサービスのことです。

たとえば、ある製造業の企業が「在庫管理を効率化したい」と考えたとき、SI事業者はその企業の業務を調査し、必要なハードウェアの選定、ソフトウェアの開発、ネットワークの構築、既存システムとの連携などをトータルでまとめ上げます。このように、複数の技術やサービスを「統合(インテグレーション)」して一つのシステムとして仕上げることから、システムインテグレーションと呼ばれます。

SIを提供する事業者をSIer(エスアイヤー)と呼ぶこともあります。

オンプレミスとクラウドコンピューティング

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情報システムを利用する形態は、大きく「オンプレミス」と「クラウドコンピューティング」の2つに分けられます。この2つの違いは、試験で非常によく問われるテーマです。

オンプレミスとは、自社の施設内にサーバーやネットワーク機器を設置し、自社で管理・運用する形態です。「オンプレミス(on-premises)」は「構内に」という意味の英語で、「自社運用」とも呼ばれます。

オンプレミスでは、システムのすべてを自社でコントロールできるため、セキュリティ要件が厳しい場合やカスタマイズの自由度が求められる場合に適しています。一方で、サーバーの購入費用や設置場所の確保、運用にかかる人件費など、初期投資と維持コストが大きくなる傾向があります。

クラウドコンピューティング(クラウド)とは、インターネットなどのネットワークを通じて、サーバー・ストレージ・ソフトウェアなどのITリソースを必要なときに必要な分だけ利用できるサービス形態です。利用者は自前でサーバーを持つ必要がなく、サービス提供者が管理するリソースをネットワーク越しに利用します。

試験で出るポイント

クラウドコンピューティングの定義を問う問題では、「大型汎用機による集中処理」や「複数台のPCによる分散処理」といった誤りの選択肢が出されることがあります。クラウドの本質は「ネットワーク経由でITリソースをサービスとして利用すること」です。
比較項目オンプレミスクラウドコンピューティング
設備の所在自社内サービス提供者のデータセンター
初期コスト大きい(購入・設置が必要)小さい(すぐに利用開始できる)
運用コスト自社で人員を確保サービス利用料として支払い
拡張性機器の追加購入が必要必要に応じて柔軟に増減可能
カスタマイズ性高いサービスの範囲内に限られる

クラウドの種類 ── パブリック・プライベート・ハイブリッド・マルチ

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クラウドコンピューティングは、誰が利用できるか・どのように構成するかによって、いくつかの種類に分けられます。

パブリッククラウドは、インターネットを通じて不特定多数の利用者に提供されるクラウドサービスです。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなどが代表例です。導入が容易で、利用した分だけ料金を支払う従量課金制が一般的です。

プライベートクラウドは、特定の企業や組織が専用で利用するクラウド環境です。自社のデータセンターに構築する場合もあれば、クラウド事業者のインフラ上に専用環境を構築する場合もあります。セキュリティやガバナンスの要件が厳しい企業に適しています。

ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウド(またはオンプレミス)を組み合わせて利用する形態です。たとえば、機密性の高いデータはプライベートクラウドで管理し、一般的な業務アプリケーションはパブリッククラウドで利用する、といった使い分けが可能です。

マルチクラウドは、複数のクラウド事業者のサービスを組み合わせて利用する形態です。たとえば、あるサービスはAWSで、別のサービスはGoogle Cloudで運用するといった構成です。特定の事業者への依存を避けたり、各社の強みを活かしたりすることが目的です。

クラウドサービスの提供モデル ── SaaS・PaaS・IaaS・DaaS

Section titled “クラウドサービスの提供モデル ── SaaS・PaaS・IaaS・DaaS”

クラウドサービスは、提供される範囲によっていくつかのモデルに分類されます。代表的なのはSaaS・PaaS・IaaSの3つで、「どこまでをサービス提供者が管理し、どこからを利用者が管理するか」という責任範囲の違いがポイントです。

SaaS(Software as a Service:サース)は、ソフトウェアそのものをインターネット経由で提供するサービスです。利用者はWebブラウザなどからすぐにアプリケーションを使えます。Gmail、Microsoft 365、Salesforceなどが代表例です。利用者はソフトウェアの設定やデータの管理だけを行い、それ以外(サーバー、OS、ミドルウェア、アプリケーション本体)はすべてサービス提供者が管理します。

PaaS(Platform as a Service:パース)は、アプリケーションを開発・実行するための基盤(プラットフォーム)を提供するサービスです。OSやデータベース、プログラミング言語の実行環境などがあらかじめ用意されており、開発者は自分のアプリケーションの開発に集中できます。Google App EngineやHerokuなどが代表例です。

IaaS(Infrastructure as a Service:イアース)は、サーバーやストレージ、ネットワークなどのインフラ(基盤)を提供するサービスです。利用者はOSの選択やミドルウェアの導入など、インフラの上に自由に環境を構築できます。Amazon EC2やGoogle Compute Engineなどが代表例です。

提供モデル提供範囲利用者が管理する範囲具体例
SaaSアプリケーションまですべてデータ・設定のみGmail、Microsoft 365
PaaSOS・ミドルウェア・開発環境までアプリケーションGoogle App Engine
IaaSハードウェア・ネットワークのみOS・ミドルウェア・アプリケーションAmazon EC2

試験で出るポイント

SaaS・PaaS・IaaSの違いは、「サービス提供者がどこまで管理するか」で区別します。IaaSはインフラだけ、PaaSはインフラ+開発基盤まで、SaaSはアプリケーションまで提供者が管理します。この責任範囲の違いを正確に押さえましょう。

さらに、DaaS(Desktop as a Service:ダース)という形態もあります。DaaSは、デスクトップ環境(PCの画面や操作環境)をクラウド上に用意し、利用者がネットワーク経由でアクセスするサービスです。利用者は手元の端末からクラウド上のデスクトップに接続して作業するため、端末が故障してもデータが失われず、どこからでも同じ環境で仕事ができるメリットがあります。Amazon WorkSpacesなどが代表例です。

ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)

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ASP(Application Service Provider)とは、インターネットを通じてアプリケーションを提供する事業者、またはそのサービスのことです。

ASPはSaaSと似た概念ですが、ASPはSaaSよりも前から使われてきた用語です。SaaSが登場する以前から、インターネット経由でソフトウェアを提供するサービスはASPと呼ばれていました。現在ではSaaSという呼び方が一般的ですが、試験ではASPという用語も引き続き出題されます。両者の本質は「ネットワーク経由でソフトウェアを利用する」という点で共通しています。

ホスティングサービスとハウジングサービス

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クラウドが普及する前から存在する、サーバー関連のサービス形態として、ホスティングサービスハウジングサービスがあります。この2つは名前が似ていますが、内容が異なるため、対比して覚えることが重要です。

ホスティングサービスは、サービス提供者が所有するサーバーを、利用者に貸し出すサービスです。利用者は自分でサーバーを購入する必要がなく、提供者のサーバーの一部または全体を借りて使います。レンタルサーバーとも呼ばれます。

ハウジングサービスは、利用者が所有するサーバーを、サービス提供者のデータセンターに預けるサービスです。提供者は設置場所、電源、空調、ネットワーク回線などの設備を提供しますが、サーバー自体は利用者のものです。コロケーションとも呼ばれます。

比較項目ホスティングサービスハウジングサービス
サーバーの所有者サービス提供者利用者
設置場所提供者のデータセンター提供者のデータセンター
別名レンタルサーバーコロケーション
利用者の自由度提供されるサーバーの仕様に依存自社仕様のサーバーを使える

試験で出るポイント

ホスティングとハウジングの違いは「サーバーを誰が持っているか」で判断します。ホスティング=提供者のサーバーを借りる、ハウジング=自社のサーバーを預ける、と覚えましょう。

マネージドサービスとは、サーバーやネットワーク機器などのITインフラの運用・監視・保守を、外部の専門業者に委託するサービスです。

自社でシステムを運用する場合、サーバーの監視、障害対応、セキュリティ対策、バックアップなど、さまざまな運用業務が発生します。マネージドサービスを利用すると、これらの運用業務を専門業者に任せることができるため、自社のIT担当者はより戦略的な業務に集中できます。

アウトソーシングとは、自社の業務の一部を外部の専門業者に委託することです。「外部(アウト)の資源(ソース)を活用する」という意味の言葉です。

IT分野では、情報システムの開発や運用、ヘルプデスク業務などを外部に委託するケースが一般的です。アウトソーシングの目的は、専門性の高い業者に任せることで品質を向上させたり、自社の人件費を削減したりすることにあります。

マネージドサービスはアウトソーシングの一形態ともいえますが、マネージドサービスがITインフラの運用管理に特化しているのに対し、アウトソーシングはIT以外の業務(経理、人事、コールセンターなど)も含む、より広い概念です。

まとめ ── ソリューション形態の全体像

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ソリューションの形態を整理すると、次のように分類できます。

  • SI:システムの企画から運用まで一括して請け負う
  • オンプレミス:自社内に設備を置いて自社で運用する
  • クラウドコンピューティング:ネットワーク経由でITリソースを利用する
    • 利用範囲別:SaaS、PaaS、IaaS、DaaS
    • 構成別:パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウド、マルチクラウド
  • ASP:SaaSの先行概念。ネットワーク経由でアプリケーションを提供
  • ホスティング:提供者のサーバーを借りる
  • ハウジング:自社のサーバーを提供者の施設に預ける
  • マネージドサービス:ITインフラの運用管理を外部に委託
  • アウトソーシング:業務全般を外部に委託

それぞれの形態には長所と短所があり、企業の規模、セキュリティ要件、コスト、技術力などに応じて最適な形態を選択することが重要です。近年はクラウドサービスの利用が急速に拡大していますが、すべてをクラウドに移行するのではなく、オンプレミスやハイブリッドクラウドなど、状況に応じた使い分けが求められています。

試験で出るポイント

この分野では各サービス形態の「定義」と「違い」を問う問題が中心です。とくにSaaS/PaaS/IaaSの責任範囲の違い、ホスティングとハウジングの違い、オンプレミスとクラウドの対比は頻出です。名前が似ている用語は対比表で整理しておきましょう。

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