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戦略目標

経営戦略から情報システム戦略へ

Section titled “経営戦略から情報システム戦略へ”

企業が成長していくためには、まず「どの方向に進むか」という大きな方針を決める必要があります。この方針を経営戦略事業戦略と呼びます。

経営戦略や事業戦略は、いきなり直感で決めるものではありません。まず自社を取り巻く経営環境の分析を行い、市場の動向や競合の状況、技術の変化などを把握します。代表的な分析手法の一つがSWOT分析です。SWOT分析では、自社の「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の4つの視点から現状を整理し、どこに注力すべきかを明確にします。

こうした分析を通じて、企業は具体的な戦略目標を設定します。たとえば「3年以内にオンライン売上比率を50%にする」「顧客満足度を業界トップにする」といった目標です。そして、この戦略目標を達成するために「どのような情報システムが必要か」を検討するのが情報システム戦略です。

試験で出るポイント

「経営戦略や事業戦略は、経営環境の分析やSWOT分析などを通じて具体的な目標が設定される」という流れを押さえておきましょう。戦略は分析に基づいて立てるものであり、思いつきで決めるものではないという点が重要です。

EA(エンタープライズアーキテクチャ)

Section titled “EA(エンタープライズアーキテクチャ)”

企業が情報システムの戦略目標を立てるとき、「今あるシステムをどう整理し、将来どう変えていくか」を体系的に考える必要があります。この全体像を設計するための手法が**EA(Enterprise Architecture:エンタープライズアーキテクチャ)**です。

EAは、組織全体の業務とシステムの構造を**4つの視点(体系)**で整理します。

体系英語名整理する対象具体例
ビジネスアーキテクチャBusiness Architecture業務の流れや組織の構造受注から出荷までの業務プロセス
データアーキテクチャData Architecture扱うデータの種類や関係顧客データ、商品データの構成
アプリケーションアーキテクチャApplication Architecture使用するシステムやソフトウェア販売管理システム、会計システム
テクノロジアーキテクチャTechnology Architectureハードウェアやネットワークなどの技術基盤サーバー構成、通信ネットワーク

EAの目的は、組織全体のシステムを「見える化」し、重複や無駄を排除して最適化することにあります。たとえば、部門ごとにバラバラに導入されたシステムを整理統合し、データの共有や業務の効率化を図ります。

試験で出るポイント

EAの4つの体系(ビジネス・データ・アプリケーション・テクノロジ)は頻出です。それぞれ「何を整理するのか」をセットで覚えておきましょう。

SoR と SoE ── 情報システムの2つの役割

Section titled “SoR と SoE ── 情報システムの2つの役割”

企業が利用する情報システムは、その目的や役割によって大きく2つのタイプに分類できます。それがSoRSoEです。

**SoR(Systems of Record)**は、「記録のシステム」と訳されます。企業の業務で発生するデータを正確に記録・管理することを目的としたシステムです。信頼性や正確性が最も重要視されます。

SoRの具体例としては、以下のようなシステムがあります。

  • 会計システム:売上や経費などの財務データを正確に記録する
  • 人事システム:従業員の給与、勤怠、異動履歴などを管理する
  • 在庫管理システム:商品の入出庫を正確に追跡する

一方、**SoE(Systems of Engagement)**は、「つながりのシステム」と訳されます。顧客や取引先との関係を強化し、新しいビジネス価値を生み出すことを目的としたシステムです。使いやすさやスピード、柔軟性が重視されます。

SoEの具体例としては、以下のようなシステムがあります。

  • SNS連携の顧客対応システム:顧客とリアルタイムでコミュニケーションをとる
  • ECサイトのレコメンド機能:顧客の好みに合わせた商品を提案する
  • モバイルアプリ:顧客がいつでも手軽にサービスを利用できるようにする
比較項目SoR(Systems of Record)SoE(Systems of Engagement)
日本語の意味記録のシステムつながりのシステム
主な目的データの正確な記録・管理顧客との関係強化・価値創造
重視される点信頼性・正確性・安定性使いやすさ・スピード・柔軟性
具体例会計、人事、在庫管理SNS連携、レコメンド、モバイルアプリ
変化の頻度比較的安定的頻繁に改善・更新される

現代の企業では、SoRで蓄積した正確なデータをSoEで活用する、というように両者を組み合わせて使うことが重要です。たとえば、在庫管理システム(SoR)のデータをもとに、ECサイト(SoE)で「おすすめ商品」を表示するといった連携が行われています。

試験で出るポイント

SoRは「Record(記録)」、SoEは「Engagement(つながり)」というキーワードから意味を思い出せるようにしておきましょう。両者の目的と具体例の違いが問われます。

情報システムの戦略目標は、経営戦略から出発して設定されます。SWOT分析などで経営環境を把握し、具体的な目標を定めたうえで、EAによって組織全体のシステムの全体像を設計します。そして、正確な記録を担うSoRと、顧客との関係を強化するSoEを適切に組み合わせることで、企業の戦略目標の達成を支えていきます。

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