コーディング標準やプログラム構造
コーディング標準とは
Section titled “コーディング標準とは”プログラムは一人で書くこともありますが、企業の開発現場ではチームで分担して作成するのが一般的です。このとき、メンバーごとに書き方がバラバラだと、他の人が読んだときに理解しにくく、修正や機能追加のときにミスが起きやすくなります。
こうした問題を防ぐために、チーム全体で統一する「プログラムの書き方のルール」がコーディング標準です。コーディング標準を定めることで、次のような効果が期待できます。
- プログラムの可読性(読みやすさ)が向上する
- 誰が書いても一定の品質が保たれる
- バグの発見や修正がしやすくなる(保守性の向上)
- チーム内での引き継ぎがスムーズになる
コーディング標準には、字下げのルール、変数名の付け方、プログラムの分割方針など、さまざまな項目が含まれます。ここからは、代表的な項目を一つずつ見ていきましょう。
字下げ(インデンテーション)
Section titled “字下げ(インデンテーション)”字下げ(インデンテーション) とは、プログラムの行頭にスペースやタブを入れて、コードの階層構造を視覚的に表現する書き方のことです。
たとえば、「もし条件を満たしたら処理Aを行う」というプログラムを書くとき、処理Aの部分を右にずらして書くことで、どの処理がどの条件に属しているかが一目でわかるようになります。
もし 点数が80点以上 なら 「合格」と表示する ← 字下げされているそうでなければ 「不合格」と表示する ← 字下げされている字下げがないと、条件と処理の関係が読み取りにくくなり、プログラムの誤りにもつながります。コーディング標準では「スペース何個分で字下げするか」などのルールを統一するのが一般的です。
ネストの深さ
Section titled “ネストの深さ”ネストとは、条件分岐やループ(繰返し処理)の中に、さらに条件分岐やループを入れる「入れ子」の構造のことです。そして、この入れ子が何段階になっているかをネストの深さと呼びます。
もし 条件A なら もし 条件B なら ← ネスト1段目 もし 条件C なら ← ネスト2段目 処理を行う ← ネスト3段目ネストが深くなるほどプログラムは複雑になり、読みにくく、バグも生まれやすくなります。コーディング標準では「ネストは3段階以内にする」といったルールを設け、深くなりすぎた場合はプログラムの構造を見直すことが推奨されます。
試験で出るポイント
命名規則とは、プログラム中の変数名や関数名などに対して、名前の付け方を統一するルールのことです。
たとえば、ユーザーの年齢を保持する変数に、ある人は a、別の人は userAge、また別の人は nen_rei と名付けたら、プログラムを読む人はその変数が何を意味しているのか理解に時間がかかります。
命名規則の例としては、次のようなものがあります。
| ルールの例 | 説明 |
|---|---|
| 英語で意味のある名前をつける | userAge(ユーザーの年齢)のように内容がわかる名前にする |
| 省略しすぎない | u ではなく user と書く |
| 定数は大文字で書く | MAX_COUNT のように大文字とアンダースコアを使う |
命名規則を統一することで、変数名や関数名を見ただけでその役割がわかるようになり、プログラム全体の可読性が大きく向上します。
モジュール分割
Section titled “モジュール分割”プログラムの規模が大きくなると、すべての処理を1か所にまとめて書くのは現実的ではありません。そこで、プログラムを機能ごとに分割して管理する考え方がモジュール分割です。
たとえば、ネットショッピングのシステムであれば、「商品を検索する機能」「カートに追加する機能」「決済を行う機能」といった単位にプログラムを分割します。
モジュール分割には、次のようなメリットがあります。
- 各モジュールを独立して開発・テストできる
- 問題が発生したとき、該当するモジュールだけを修正すればよい
- 同じ機能を他のシステムでも再利用できる
メインルーチンとサブルーチン
Section titled “メインルーチンとサブルーチン”モジュール分割と密接に関わる概念が、メインルーチンとサブルーチンです。
メインルーチンとは、プログラムの実行が始まる中心的な処理の流れのことです。プログラム全体の進行を管理する「司令塔」の役割を果たします。
サブルーチンとは、メインルーチンから呼び出されて特定の処理を行う、部品のようなプログラムのことです。処理が終わると、呼び出し元のメインルーチンに戻ります。
たとえば、料理にたとえると、メインルーチンは「レシピ全体の手順」、サブルーチンは「ソースを作る手順」や「野菜を切る手順」のように、個別の作業をまとめたものに相当します。メインルーチンの中で「ここでソースを作る」と指示し、ソースが完成したらメインの手順に戻るイメージです。
試験で出るポイント
ライブラリとは、よく使われる機能をまとめた「プログラムの部品集」のことです。
プログラムを開発するとき、すべての処理をゼロから書く必要はありません。たとえば、日付の計算やファイルの読み書きなどは、多くのプログラムで共通して必要になる処理です。こうした汎用的な機能をあらかじめライブラリとして用意しておけば、開発者はそれを呼び出すだけで目的の処理を実現できます。
ライブラリを活用することで、次のような利点があります。
- 開発効率の向上:すでに作られた部品を使うため、開発時間を大幅に短縮できる
- 品質の向上:多くの開発者に使われ、テストされたライブラリは信頼性が高い
- コードの簡潔化:複雑な処理をライブラリの呼び出し1行で済ませられる
外部のライブラリなどを上手に活用することで、効率的なプログラミングが可能になります。
API(Application Programming Interface)
Section titled “API(Application Programming Interface)”API(Application Programming Interface)とは、あるソフトウェアの機能を、外部の別のソフトウェアから利用するための「窓口」にあたる仕組みです。
たとえば、スマートフォンのアプリがカメラ機能を使いたいとき、カメラを制御するプログラムをゼロから書く必要はありません。OSが用意している「カメラを起動するAPI」を呼び出すだけで、カメラ機能を利用できます。
APIを提供する側は「どのような形式でリクエストを送れば、どのような結果が返ってくるか」を公開しています。利用する側は、その仕様に従って呼び出すだけで、内部の複雑な処理を知らなくても機能を使うことができます。
WebAPI
Section titled “WebAPI”WebAPIとは、インターネット(Web)を通じて利用できるAPIのことです。通常のAPIがソフトウェア同士の連携に使われるのに対し、WebAPIはネットワーク越しに別のサービスの機能やデータを取得できる点が特徴です。
身近なWebAPIの例を見てみましょう。
| WebAPIの例 | 提供されるデータ・機能 |
|---|---|
| 天気情報API | 指定した地域の天気予報データを取得できる |
| 地図API | 地図の表示やルート検索機能を利用できる |
| 翻訳API | テキストを別の言語に翻訳できる |
| SNS連携API | SNSへの投稿やログイン機能を組み込める |
たとえば、旅行サイトが「目的地の天気」を表示している場合、その天気データは自社で観測しているのではなく、天気情報サービスのWebAPIを利用して取得していることが多いです。このように、WebAPIを活用することで、自社にない機能やデータを手軽に取り入れることができます。
試験で出るポイント
ローコードとノーコード
Section titled “ローコードとノーコード”従来のプログラム開発では、プログラミング言語を使ってコードを書く必要がありました。しかし近年では、コードをほとんど書かずにアプリケーションを開発できる手法が注目されています。
ローコードとは、最小限のコード記述で開発を行う手法です。GUI(グラフィカルユーザインタフェース)上で部品をドラッグ&ドロップしたり、設定画面で項目を選択したりすることで、アプリケーションの大部分を構築できます。細かいカスタマイズが必要な部分だけ、少量のコードを書いて対応します。
ノーコードとは、プログラムのコードを一切書かずに開発を行う手法です。あらかじめ用意されたテンプレートや部品を組み合わせるだけで、アプリケーションを作成できます。プログラミングの知識がない人でも開発に参加できることが大きな特徴です。
| 手法 | コードの記述 | 自由度 | 対象者 |
|---|---|---|---|
| 従来の開発 | すべてコードで記述 | 非常に高い | プログラマー・エンジニア |
| ローコード | 最小限のコード | 中程度 | IT担当者・開発経験がある人 |
| ノーコード | コード不要 | 限定的 | プログラミング未経験者でも可 |
ローコードやノーコードは、開発のスピードを上げたり、IT部門以外の業務担当者が自ら業務改善のためのアプリケーションを作成したりする場面で活用されています。
試験で出るポイント
コーディング標準は、チーム開発においてプログラムの品質と可読性を保つための重要なルールです。字下げやネストの深さ、命名規則といった書き方のルールから、モジュール分割やメインルーチン・サブルーチンといったプログラムの構造に関する考え方まで、幅広い内容を含んでいます。
また、ライブラリやAPI・WebAPIを活用することで効率的な開発が可能になること、ローコード・ノーコードという新しい開発手法が広がっていることも、あわせて理解しておきましょう。