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情報デザインの考え方や手法

私たちは日常的に、Webサイトのメニューや駅の案内板、スマートフォンのアプリなど、さまざまな「情報」に触れています。これらの情報が見やすく、わかりやすく、使いやすいと感じるのは、背景に情報デザインの考え方があるからです。

情報デザインとは、情報を受け手にとってわかりやすく、使いやすい形で伝えるための設計手法のことです。単に「見た目をきれいにする」ことではなく、情報を整理・構造化し、利用者が迷わず目的を達成できるように設計することが本質です。

この分野では、デザインの原則や情報の整理手法、利用者体験の考え方など、ITパスポート試験で問われる重要な概念がいくつかあります。順番に見ていきましょう。

デザインの原則(近接・整列・反復・対比)

Section titled “デザインの原則(近接・整列・反復・対比)”

情報を視覚的にわかりやすく伝えるための基本ルールとして、デザインの原則があります。これは「近接」「整列」「反復」「対比」の4つからなり、あらゆるデザインの基盤となる考え方です。

原則意味具体例
近接関連する要素を近くにまとめ、関連しない要素は離す名刺で「名前と肩書き」を近くに配置し、「住所と電話番号」は別のまとまりにする
整列要素を見えない線に沿って揃える文章の左端を揃える、表の数値を右揃えにする
反復同じデザイン要素(色、フォント、レイアウト)を繰り返し使う各章の見出しに同じフォントサイズ・色を使い、統一感を出す
対比異なる要素にはっきりとした違いをつける見出しを本文より大きく太くする、重要な項目を赤字にする

たとえば、スーパーのチラシを思い浮かべてみてください。「野菜コーナー」「お肉コーナー」のように関連商品がまとめて配置され(近接)、価格が右揃えで統一され(整列)、各コーナーの見出しが同じデザインで繰り返され(反復)、特売品だけ大きな文字や目立つ色で表示されています(対比)。

試験で出るポイント

2025年の試験で4つの原則の穴埋め問題が出題されました。「近接・整列・反復・対比」の名前と意味をセットで覚えておきましょう。とくに「整列=揃える」「対比=違いを明確にする」は混同しやすいので注意してください。

大量の情報を整理するとき、「どのような基準で分類すればよいか」を示すのがLATCHの法則です。LATCHとは、情報を整理する5つの軸の頭文字を取ったものです。

英語意味具体例
LLocation(場所)場所や位置で分類する地図上に店舗を表示する、都道府県別に情報をまとめる
AAlphabet(アルファベット・五十音)名前や文字順で並べる辞書、電話帳、社員名簿の五十音順
TTime(時間)時間の流れで並べる年表、スケジュール表、ニュースの新着順
CCategory(カテゴリ)種類やジャンルで分類する書店の「小説」「ビジネス書」「参考書」などの棚分け
HHierarchy(階層)大きさや重要度の順に並べる売上ランキング、人口の多い順に都市を並べる

LATCHの法則は、「情報の整理方法はこの5つに集約される」という考え方です。Webサイトのナビゲーション設計や、プレゼン資料の構成を考えるときにも活用できます。

試験で出るポイント

LATCHの各文字が何を表すかを正確に覚えましょう。とくにHierarchy(階層)は「ヒエラルキー」と読み、順位や大小で並べることを意味します。

情報の可視化とは、数値データや複雑な情報を、グラフ・図表・地図などの視覚的な形式に変換して表現することです。人間は文字や数字の羅列よりも、図やグラフのほうが直感的に理解しやすいため、情報デザインにおいて可視化は非常に重要な手法です。

たとえば、売上データを表の数字で並べるよりも、棒グラフにしたほうが「どの月の売上が多いか」が一目でわかります。地図上に色を塗り分けて人口密度を表示すれば、地域ごとの違いが直感的に理解できます。

情報の可視化は、先ほどのLATCHの法則と組み合わせて使うと効果的です。たとえば、時間(T)の軸でデータを整理し、折れ線グラフで可視化すれば、変化の傾向がひと目でわかるようになります。

シグニファイアとは、人間に対して「ここをこう操作すればよい」という適切な行動を誘発する、知覚可能な手掛かりのことです。

身近な例で考えてみましょう。部屋のドアに平らなプレートがついていれば「押して開ける」とわかりますし、取っ手がついていれば「引いて開ける」とわかります。このように、デザインの見た目や形状によって、正しい操作方法を自然に伝える手掛かりがシグニファイアです。

IT分野では、次のような例があります。

  • Webサイトのリンクが青色で下線付きになっている → 「クリックできる」とわかる
  • スマートフォンのボタンが立体的に見える → 「押せる」とわかる
  • スライダーに丸い取っ手がある → 「ドラッグして動かせる」とわかる

シグニファイアとアフォーダンスの違い

Section titled “シグニファイアとアフォーダンスの違い”

シグニファイアと混同しやすい概念にアフォーダンスがあります。両者の違いを整理しておきましょう。

概念意味ポイント
アフォーダンスモノが本来持っている「行為の可能性」椅子は「座れる」という可能性を持っている(人が気づくかどうかは関係ない)
シグニファイア行為の可能性を「人に知覚させる手掛かり」椅子の座面の形状や高さが「ここに座ってください」と伝えている

アフォーダンスは「そのモノで何ができるか」という客観的な性質であり、シグニファイアは「人間にそれを気づかせるデザイン上の手掛かり」です。試験ではシグニファイアの定義を正確に問う問題が出題されています。

試験で出るポイント

2024年の試験で「ドアノブの形で開閉の仕方を示唆するような、人間の適切な行動を誘発する知覚可能な手掛かり」が何かを問う問題が出題され、答えは「シグニファイア」でした。NUI(自然なユーザーインタフェース)やウィザード(操作手順を段階的に案内する仕組み)と混同しないようにしましょう。

UXデザイン(User Experience デザイン)

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UXデザイン(User Experience デザイン)とは、製品やサービスを通じてユーザーが得る「体験全体」をより良くするための設計手法です。UXの「X」はExperience(体験)を意味します。

ここで大切なのは、UXデザインが扱う範囲は「画面の見た目」だけではないという点です。ユーザーが製品を知り、購入し、使い始め、使い続け、やがて手放すまでの一連の体験すべてが対象になります。

UXデザインと似た言葉にUIデザインがあります。UI(User Interface)は、ユーザーと製品の「接点」、つまり画面のレイアウトやボタンの配置など、目に見える部分の設計を指します。

概念対象範囲具体例
UIデザインユーザーとの接点(画面や操作部分)ボタンの色・大きさ、メニューの配置、文字の読みやすさ
UXデザインユーザー体験の全体申し込みから利用開始までのスムーズさ、困ったときのサポート体制、使い続けたくなる仕組み

UIデザインはUXデザインの一部です。いくら画面がきれいでも、申し込み手続きが複雑だったり、問い合わせへの対応が遅かったりすれば、ユーザー体験(UX)は悪くなります。

構造化シナリオ法とは、ユーザーの行動や体験をシナリオ(物語)として段階的に記述し、製品やサービスの設計に活かす手法です。ユーザーがどのような場面で、どのような目的を持ち、どのように行動するかを具体的に描き出します。

構造化シナリオ法では、シナリオを次の3つの段階に分けて記述します。

段階内容記述する内容
バリューシナリオユーザーの価値観や本質的なニーズ「なぜそれをしたいのか」という動機や目的
アクティビティシナリオユーザーの具体的な行動の流れ「何をするか」という操作や活動の手順
インタラクションシナリオシステムとの詳細なやり取り「画面のどこを押して、何が表示されるか」という操作と応答

たとえば、オンラインショッピングサイトを設計する場合を考えます。

  • バリューシナリオ:「仕事で忙しいAさんは、買い物に行く時間がないので、自宅にいながら簡単に日用品を注文したい」
  • アクティビティシナリオ:「Aさんはスマートフォンでアプリを開き、カテゴリから日用品を選び、カートに入れて注文する」
  • インタラクションシナリオ:「トップ画面の『カテゴリ』ボタンをタップ → 日用品カテゴリを選択 → 商品一覧が表示される → 商品をタップして詳細を確認 → 『カートに入れる』ボタンをタップ」

このように段階的にシナリオを詳細化することで、ユーザーの本質的なニーズから画面設計まで一貫した設計が行えます。

試験で出るポイント

構造化シナリオ法は「ユーザーの行動シナリオを段階的に記述する手法」という点を押さえておきましょう。3段階の名前まで暗記する必要性は低いですが、「ユーザー視点で設計する手法」であることを理解しておくことが大切です。

情報デザインの分野では、利用者にとってわかりやすく使いやすい情報の伝え方を学びます。ここで学んだ主な概念を整理しておきましょう。

概念ポイント
デザインの原則近接・整列・反復・対比の4つで、情報を視覚的にわかりやすくする
LATCHの法則情報整理の5つの軸(場所・文字順・時間・カテゴリ・階層)
情報の可視化データをグラフや図に変換して直感的に伝える
シグニファイア適切な行動を誘発する知覚可能な手掛かり
UXデザインユーザー体験全体をより良くする設計手法
構造化シナリオ法ユーザーの行動をシナリオとして段階的に記述する手法

試験で出るポイント

この分野では用語の定義を正確に理解することが重要です。とくに「シグニファイア」と「デザインの四原則」は近年出題されており、それぞれの意味を具体例とともに説明できるようにしておきましょう。

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