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IoTネットワークの構成要素

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)とは、家電、自動車、工場の機械などさまざまな「モノ」がインターネットに接続され、データをやり取りする仕組みのことです。IoTシステムは、大きく3つの要素で構成されています。

  1. IoTデバイス ── データを収集したり、物理的な動作を行ったりする末端の機器
  2. IoTゲートウェイ ── IoTデバイスとインターネットの橋渡しをする中継装置
  3. IoTサーバ ── 集めたデータを蓄積・分析し、制御命令を送るサーバ

たとえば、農業IoTでは「畑に設置された温度センサ(IoTデバイス)→ ゲートウェイ → クラウド上のサーバ(IoTサーバ)」という流れでデータが送られ、サーバが「水やりを開始せよ」という指示を返します。

試験で出るポイント

IoTシステムの構成は「IoTデバイス → IoTゲートウェイ → IoTサーバ」の3層構造で覚えましょう。それぞれの役割を問う問題が出題されます。

IoTデバイスの中でも特に重要な2つの部品が、センサアクチュエータです。この2つは対になる概念として、セットで理解しておきましょう。

部品役割具体例
センサ温度・湿度・光・加速度などの物理量を計測する温度センサ、加速度センサ、GPSセンサ、カメラ
アクチュエータ電気信号を受け取り、物理的に動作するモーター、バルブ、ヒーター、LED

つまり、センサが「情報を取得する目」の役割を果たし、アクチュエータが「指示に従って動く手足」の役割を果たします。

スマートホームを例にすると、室温センサ(センサ)が「28℃」というデータをサーバに送り、サーバが「エアコンをオンにせよ」と指示を出し、エアコンのコンプレッサー(アクチュエータ)が動作する、という流れになります。

試験で出るポイント

「センサ=計測(情報を取得)」「アクチュエータ=動作(物理的に動く)」という対比は頻出です。選択肢で入れ替えて出題されることがあるので、違いを正確に押さえましょう。

IoTデバイスとゲートウェイの間をつなぐ比較的狭い範囲のネットワークをIoTエリアネットワークと呼びます。IoTエリアネットワークでは、家庭内や工場内といった限られた範囲で、省電力かつ低コストにデバイスを接続することが求められます。

IoTエリアネットワークで使われる主な通信方式には、BLE、ZigBee、PLCなどがあります。それぞれの特徴を順に見ていきましょう。

BLE(Bluetooth Low Energy)は、Bluetooth 4.0で追加された省電力の近距離無線通信規格です。従来のBluetoothと比べて消費電力が非常に小さく、ボタン電池1つで数年間動作できるのが大きな特徴です。

通信距離は数十メートル程度で、データの転送速度は遅めですが、IoTデバイスのように少量のデータを定期的に送る用途には最適です。

BLEの身近な活用例としては以下があります。

  • 忘れ物防止タグ ── カバンや鍵に付けておき、スマートフォンで位置を確認する
  • スマートウォッチ ── スマートフォンと連携して通知や歩数データをやり取りする
  • ビーコン ── 店舗に設置してクーポン情報を近くのスマートフォンに送信する

試験で出るポイント

BLEは「Bluetooth 4.0の追加仕様」「ボタン電池で数年動作」「近距離・省電力」がキーワードです。従来のBluetooth(3.0以前)とは互換性がない場合がある点にも注意しましょう。

ZigBee(ジグビー)は、BLEと同様にIoT向けの省電力無線通信規格です。通信速度は低速(最大250kbps程度)ですが、消費電力が非常に小さく、多数のデバイスを接続できるのが特徴です。

ZigBeeの大きな特徴はマルチホップ通信に対応していることです。マルチホップとは、デバイス同士がリレー方式でデータを中継し、直接電波が届かない遠くのデバイスまでデータを届ける仕組みです。バケツリレーのように、隣のデバイスに順番にデータを渡していくイメージです。

たとえば、広い工場でセンサを100個配置する場合、すべてのセンサがゲートウェイに直接通信する必要はなく、隣のセンサを経由してデータを届けることができます。このためZigBeeは、スマートホームや工場のセンサネットワークなどで多く使われています。

試験で出るポイント

マルチホップは「デバイス同士がリレー方式で中継する通信方式」と覚えましょう。直接通信できない距離でも、中間のデバイスを経由してデータを届けられる点がポイントです。

PLC(Power Line Communication:電力線通信)

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PLC(Power Line Communication:電力線通信)は、電気の配線(電力線)をそのまま通信回線として利用する技術です。新たに通信ケーブルを敷設する必要がなく、コンセントに機器を差し込むだけでネットワークに接続できるのが利点です。

PLCは有線通信です。BLEやZigBeeが無線であるのに対して、PLCは既存の電力線を使った有線通信であることをしっかり区別しておきましょう。

PLCの活用例としては、工場や倉庫など無線の電波が届きにくい場所での通信があります。金属の壁や機器が多い環境では無線の電波が遮られやすいため、すでに敷設されている電力線を通信に使うPLCが有効です。

試験で出るポイント

PLCは「電力線を利用する有線通信」です。「無線通信を選べ」という問題でPLCが選択肢にあっても選ばないように注意しましょう。

LPWA(Low Power Wide Area)は、IoT向けに開発された無線通信方式の総称です。名前の通り「低消費電力(Low Power)」で「広域(Wide Area)」の通信ができることが最大の特徴です。

LPWAの特徴をまとめると、以下の3つになります。

  1. 省電力 ── バッテリーで数年間の稼働が可能
  2. 広域 ── 数km〜数十kmの通信距離
  3. 低速 ── データ転送速度は遅い(大量のデータ送信には不向き)

LPWAは、農業のセンサネットワーク(広い農地に温度・湿度センサを配置する)、河川の水位監視、ガスメーターの遠隔検針など、「少量のデータを広い範囲からゆっくり集める」用途に適しています。

LPWAの代表的な規格としては、LoRaWAN(ローラワン)やSigfox(シグフォックス)などがあります。

試験で出るポイント

LPWAは「省電力・広域・低速」の3点セットで覚えましょう。「高速通信」「大量のデータ送信に適している」といった選択肢は誤りです。携帯電話(高速・広域・高消費電力)との違いを意識しましょう。

ここまで紹介した通信方式を表で整理します。それぞれの特徴を比較すると、使い分けのポイントが見えてきます。

通信方式有線/無線通信距離速度消費電力主な用途
BLE無線数十m低速非常に小さいウェアラブル、ビーコン
ZigBee無線数十m〜数百m(マルチホップ)低速非常に小さいスマートホーム、工場
PLC有線建物内中速電波の届きにくい場所
LPWA無線数km〜数十km低速非常に小さい農業、インフラ監視
Wi-Fi無線数十m高速大きい家庭、オフィス

BLEとZigBeeは近距離・省電力、LPWAは広域・省電力、Wi-Fiは高速だが消費電力が大きいという違いがあります。IoTでは「どれだけの距離で」「どれくらいのデータを」「どれくらいの電力で」送るかによって最適な通信方式が変わります。

試験で出るポイント

有線か無線かの分類は頻出です。BLE・ZigBee・LPWA=無線、PLC=有線(電力線利用)と整理しておきましょう。

IoTデバイスが大量のデータを生み出すと、すべてのデータをクラウド上のサーバに送って処理するのでは、ネットワークの負荷が大きくなり、処理に時間がかかってしまいます。そこで登場したのがエッジコンピューティングです。

エッジコンピューティングとは、IoTデバイスの近く(ネットワークの「端=エッジ」)にサーバやコンピュータを配置し、データの処理や分析をデバイスに近い場所で行う方式です。

エッジコンピューティングの主なメリットは2つあります。

  1. リアルタイム性の向上 ── データをクラウドまで往復させる必要がないため、応答が速い。自動運転や工場の異常検知など、即座の判断が必要な場面で重要
  2. サーバ負荷・通信量の軽減 ── エッジ側で不要なデータをフィルタリングし、必要なデータだけをクラウドに送ることで、ネットワークやサーバの負担を減らせる

ここで注意したいのは、エッジコンピューティングはクラウドコンピューティングの「代わり」ではなく「補完」であるという点です。エッジで一次処理を行い、クラウドで高度な分析や長期保存を行うという役割分担が一般的です。

試験で出るポイント

エッジコンピューティングは「IoTデバイスの近くで処理すること」で「サーバ負荷の軽減」と「リアルタイム性の向上」を実現する仕組みです。「クラウドの代替」ではなく「補完」である点も押さえておきましょう。

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