通信サービス
通信サービスの全体像
Section titled “通信サービスの全体像”インターネットやスマートフォンを使うとき、私たちは意識せずにさまざまな通信事業者のサービスを利用しています。通信サービスの構造を理解するには、まず「誰がどの役割を担っているか」を把握することが大切です。
通信サービスに関わる事業者は、大きく次の3種類に分けられます。
| 事業者の種類 | 役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| 回線事業者 | 通信回線(光ファイバーや携帯電話回線など)を所有・提供する | NTT東日本・西日本、KDDI、ソフトバンク |
| インターネット接続サービス事業者(ISP) | 回線事業者の通信回線を利用して、インターネットへの接続サービスを提供する | OCN、So-net、BIGLOBE |
| 仮想移動体通信事業者(MVNO) | 自社では回線を持たず、回線事業者から回線を借りて独自ブランドの通信サービスを提供する | IIJmio、mineo、楽天モバイル(一部) |
利用者がインターネットを使うまでの流れは、「回線事業者が通信インフラを提供 → ISPがインターネット接続を仲介 → 利用者がサービスを利用する」という構造になっています。
ISP(Internet Service Provider)は、プロバイダとも呼ばれます。自宅に光回線を引いただけではインターネットには接続できず、ISPとの契約が必要です。ISPは回線事業者の通信回線を使って、利用者をインターネットに接続する「橋渡し役」を担っています。
MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)は、いわゆる「格安SIM」として知られるサービスの提供元です。自前の基地局や通信設備を持たず、大手回線事業者(MNO)の回線を借りることで設備投資を抑え、安価な料金でサービスを提供できます。
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パケット通信と課金方式
Section titled “パケット通信と課金方式”スマートフォンやパソコンでデータをやり取りするとき、送信するデータは小さな単位に分割されて送られます。この小さな単位をパケット(小包の意味)と呼び、パケット単位でデータを送受信する方式をパケット通信といいます。
パケット通信では、通信回線を複数の利用者で共有できるため、回線を効率的に使えます。通話中ずっと回線を占有する従来の電話とは異なり、データを送るときだけ回線を使い、送り終わったら回線を解放するという仕組みです。
パケット通信における課金方式には、大きく2つのタイプがあります。
| 課金方式 | 仕組み | メリット・デメリット |
|---|---|---|
| 従量制 | 使ったデータ量(パケット数)に応じて料金が決まる | 少量利用なら安いが、大量に使うと高額になる |
| 定額制 | 毎月一定の料金を支払い、一定量まで(または無制限で)利用できる | 料金が予測しやすいが、あまり使わない月でも同じ料金がかかる |
現在のスマートフォンの料金プランでは、月間データ容量に上限を設けた「段階制」や、一定容量まで定額の「データ定額プラン」が一般的です。
モバイル通信の仕組み
Section titled “モバイル通信の仕組み”基地局とアクセスポイント
Section titled “基地局とアクセスポイント”スマートフォンなどの携帯端末は、電波を使って通信を行います。この電波を送受信するために、地上に設置された通信設備が基地局です。携帯電話は、最寄りの基地局と電波でつながることでインターネットや通話が利用できます。
一方、AP(アクセスポイント) はWi-Fiの電波を送受信する機器です。自宅のWi-Fiルーターや、カフェ・駅などに設置されている公衆Wi-Fiの機器がAPに該当します。基地局が携帯電話回線(モバイル通信)の接続点であるのに対し、APはWi-Fi(無線LAN)の接続点であるという違いがあります。
モバイル通信を支える技術
Section titled “モバイル通信を支える技術”モバイル通信(移動体通信)では、利用者が移動しながらでも途切れなく通信できるよう、さまざまな技術が使われています。
ハンドオーバーとは、移動中に接続する基地局を自動的に切り替える技術です。たとえば電車に乗りながらスマートフォンを使っていると、次々と別の基地局のエリアに入りますが、通話やデータ通信が途切れないのはハンドオーバーが機能しているためです。
ローミングとは、契約している通信事業者のサービスエリア外でも、提携先の事業者の回線を利用して通信できる仕組みです。海外旅行先でスマートフォンをそのまま使えるのは、国際ローミングのおかげです。
プラチナバンドとは、700〜900MHz帯の周波数帯のことです。電波の周波数が低いほど障害物を回り込みやすい性質があるため、この帯域の電波は建物の中や山間部にも届きやすく、「つながりやすい電波」として重宝されています。
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通信速度を向上させる技術
Section titled “通信速度を向上させる技術”MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)は、複数のアンテナを使って同時にデータを送受信する技術です。送信側と受信側の両方に複数のアンテナを設置し、複数の電波を同時に流すことで通信速度を向上させます。最新の5G通信では「Massive MIMO」と呼ばれる、さらに多くのアンテナを使う方式が採用されています。
キャリアアグリゲーションは、複数の異なる周波数帯の電波を同時に束ねて通信する技術です。1本の道路より複数の道路を同時に使ったほうが多くの車が通れるのと同じ原理で、通信速度と安定性を向上させます。LTE-Advancedや5Gで活用されています。
光通信とIP電話
Section titled “光通信とIP電話”光通信とは、光ファイバーケーブルを使って光信号でデータを送受信する通信方式です。光ファイバーはガラスやプラスチックの細い管で、光を反射させながら伝送します。電気信号を使う従来の銅線(メタルケーブル)に比べて、高速・大容量・長距離の通信が可能で、電磁波の干渉を受けにくいという利点があります。
家庭向けのインターネット接続でも「光回線」は広く普及しており、現在の固定回線の主流となっています。
IP電話とVoIP
Section titled “IP電話とVoIP”IP電話とは、インターネットで使われるIP(Internet Protocol)技術を利用して音声通話を行うサービスです。従来の電話回線(アナログ回線やISDN回線)を使わず、インターネット回線やLAN(ローカルエリアネットワーク)を通じて音声データをやり取りします。
IP電話の基盤となる技術がVoIP(Voice over Internet Protocol)です。VoIPは、音声をデジタルデータに変換してIPネットワーク上で伝送する技術の総称です。IP電話はVoIPを利用した具体的なサービスと位置づけられます。
IP電話には次のような特徴があります。
- 通話料が安い(とくに長距離通話で大きなメリット)
- インターネット回線を利用するため、既存のネットワークインフラを活用できる
- 企業内LANでも利用可能(インターネットを経由しない社内通話にも使える)
- Skype、Zoom、LINE通話なども、広い意味ではVoIP技術を使ったサービス
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SIMカード・eSIM・テザリング
Section titled “SIMカード・eSIM・テザリング”SIMカードとeSIM
Section titled “SIMカードとeSIM”SIMカード(Subscriber Identity Module Card)は、携帯電話の契約者情報や電話番号が記録された小さなICカードです。スマートフォンにSIMカードを挿入することで、その端末で通話やデータ通信が利用できるようになります。
eSIM(embedded SIM)は、端末に内蔵されたSIM機能です。物理的なカードの挿し替えが不要で、オンラインで契約情報を書き込むだけで利用を開始できます。
| 項目 | SIMカード | eSIM |
|---|---|---|
| 形態 | 物理カード(取り外し可能) | 端末に内蔵(取り外し不可) |
| 契約変更 | カードを差し替える | オンラインで書き換え |
| メリット | 端末間の移行が容易 | 即時開通、紛失リスクが低い |
テザリングとは、スマートフォンなどのモバイル端末をアクセスポイントとして利用し、パソコンやタブレットなどほかの機器をインターネットに接続する機能です。外出先でWi-Fi環境がないときに、スマートフォンの通信回線を共有してノートパソコンからインターネットを使う、といった場面で活用されます。
MNP(携帯電話番号ポータビリティ)
Section titled “MNP(携帯電話番号ポータビリティ)”MNP(Mobile Number Portability:携帯電話番号ポータビリティ)は、携帯電話会社を変更しても、それまで使っていた電話番号をそのまま引き継げる制度です。たとえばA社からB社に乗り換えるとき、MNPを利用すれば電話番号を変える必要がありません。
MNPは事業者間の競争を促進し、利用者が自由にサービスを選べるようにするための仕組みです。
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テレマティクス
Section titled “テレマティクス”テレマティクスとは、自動車などの移動体に通信機能を搭載し、リアルタイムで情報をやり取りするサービスの総称です。「テレコミュニケーション(通信)」と「インフォマティクス(情報処理)」を組み合わせた造語です。
テレマティクスの具体例には次のようなものがあります。
- カーナビゲーションへのリアルタイム交通情報の配信
- 緊急時の自動通報システム(事故発生時に自動で救援を要請)
- 走行データを分析した自動車保険(テレマティクス保険)
- コネクテッドカー(常時インターネットに接続された自動車)のサービス全般
テレマティクスはIoT(モノのインターネット)の代表的な活用例であり、自動運転技術との関連でも注目されています。