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預貯金商品の種類と利率計算

金融資産運用の出発点は、もっとも身近な預貯金です。普通預金や定期預金は誰もが利用していますが、実は「いつ引き出せるか」「金利はどう決まるか」「利息はどう計算されるか」によって細かく分類されています。FP3級でも、預金の種類と利息計算を組み合わせた問題が安定して出題されます。

本章では、まず銀行系の預金(普通預金・定期預金各種)の特徴を整理し、つぎに固定金利と変動金利の違い、最後に単利と複利の計算式と数値例まで、ひと続きで理解できるように解説します。

預金の基本分類 ── 流動性預金と定期性預金

Section titled “預金の基本分類 ── 流動性預金と定期性預金”

銀行に預けるお金(預金)は、いつでも引き出せるかで大きく2種類に分類されます。なお、ゆうちょ銀行や農協などでは「貯金」と呼びますが、性格はほぼ同じです。両者をまとめて預貯金と呼びます。

分類特徴代表例
流動性預金いつでも自由に出し入れできる。金利は低め普通預金、貯蓄預金、当座預金
定期性預金一定期間預けることが前提。流動性預金より金利が高めスーパー定期、大口定期預金、期日指定定期預金

「流動性」とは「現金化のしやすさ」のこと。日々の決済や生活費の置き場には流動性預金、まとまった資金を一定期間ねかせる目的には定期性預金、と使い分けるイメージです。

普通預金は、いつでも預入・払戻ができる代表的な流動性預金です。給与振込・公共料金の引落・ATM出金など、日常の入出金口座として広く使われています。金利は他の預金より低い水準で設定されますが、利息は半年ごとに元本に組み入れられる半年複利の扱いとなるのが一般的です。

貯蓄預金も流動性預金の一種で、預金残高に応じて金利が段階的に上がる仕組み(残高別金利)になっているのが特徴です。ただし、給与・年金などの自動受取や公共料金などの自動支払の口座としては利用できないという制約があります。

定期性預金にはいくつかの種類があり、FP3級では特に スーパー定期大口定期預金期日指定定期預金 の3つを区別できるようにしておきましょう。

スーパー定期は、個人がもっとも一般的に利用する定期預金です。預入金額に細かい制限はなく、預入期間も1か月以上10年以内の範囲で自由に選べます。利息の計算方法は預入期間によって次のように分かれます。

  • 預入期間が3年未満 ── 単利型のみ。
  • 預入期間が3年以上 ── 単利型半年複利型を選択可能。ただし半年複利型は個人のみ選べ、法人は単利型しか選べない。

「3年以上・個人なら半年複利型OK」というルールは、計算問題と組み合わせて出題されやすい論点です。

大口定期預金は、預入金額が1,000万円以上の定期預金です。金利は固定金利の単利型で、預入期間は1か月以上10年以内が中心です。金額が大きい分、金利は店頭表示金利を基準に個別交渉で決まることもあるのが特徴です。

期日指定定期預金は、預入から1年間の据置期間を経たあと、満期日(払戻日)を3年以内で1か月単位に自由に指定できる定期預金です。利息は1年複利で計算されるのが特徴で、家族のライフイベント(教育費・住宅頭金など)に合わせて満期を後から設定できる柔軟性があります。

預金預入金額預入期間金利の決まり方利息計算
スーパー定期制限なし1か月〜10年固定3年未満は単利/3年以上は単利または半年複利(複利は個人のみ)
大口定期預金1,000万円以上1か月〜10年固定(個別交渉あり)単利
期日指定定期預金制限なし据置1年後〜最長3年固定1年複利

試験で出るポイント

スーパー定期の半年複利型は法人も選べる」「大口定期は半年複利」といった選択肢は誤りです。半年複利型は個人かつ3年以上の場合のみ。大口定期は単利、期日指定定期は1年複利、と3つを違いとセットで覚えましょう。

預金にはもう一つ、金利の決まり方による分類があります。

固定金利は、預入時の金利が満期まで変わらないタイプです。スーパー定期・大口定期・期日指定定期はいずれも基本的に固定金利です。預けた時点で受取利息が見通せるため、計画的に資金を運用できるメリットがあります。

変動金利は、金利が市場金利の動きに合わせて見直されるタイプです。代表例として変動金利定期預金があり、6か月ごとに適用金利が見直されるのが一般的です。市場金利が上昇する局面では受取利息が増える可能性がある一方、低下局面では減ってしまうリスクもあります。

金利タイプ預入時に決まる利息金利上昇局面金利低下局面
固定金利満期まで一定受取利息は変わらない(機会損失あり)高い金利を維持できる(有利)
変動金利見直しのたびに変わる受取利息が増える可能性受取利息が減る可能性

預金の受取利息は、利率の大きさだけでなく利息の計算方式によっても変わってきます。FP3級では単利複利の違い、特に1年複利半年複利の計算式が頻出です。

単利は、当初の元本にだけ利息がつく計算方式です。期中にもらった利息が再運用されない、というイメージです。

単利の元利合計=元本×(1+年利率×年数)\text{単利の元利合計} = \text{元本} \times (1 + \text{年利率} \times \text{年数})

たとえば100万円を年利1%、3年の単利で預けると、利息は次のようになります。

1,000,000×0.01×3=30,0001{,}000{,}000 \times 0.01 \times 3 = 30{,}000\text{円}

3年後の元利合計は 103万円 です。途中で受け取る利息は元本に組み入れられず、つねに「元本100万円×1%」分の利息が毎年発生する計算です(実際には満期時に一括受取される設計の預金が多いですが、利息計算の考え方は同じです)。

複利は、一定期間ごとに利息を元本に組み入れて、その新しい元本にまた利息がつく計算方式です。利息が利息を生む「雪だるま式」の運用、と言われます。

1年複利は、1年に1回利息を元本に組み入れる方式です。元利合計は次の式で計算できます。

元利合計=元本×(1+年利率)年数\text{元利合計} = \text{元本} \times (1 + \text{年利率})^{\text{年数}}

100万円を年利1%、3年の1年複利で預けると、

1,000,000×(1.01)31,030,3011{,}000{,}000 \times (1.01)^3 \fallingdotseq 1{,}030{,}301\text{円}

3年間で 約3万301円 の利息となり、単利(3万円)より301円多くなります。年数が長いほど、利率が高いほど、複利と単利の差は大きく広がります。

半年複利は、半年に1回利息を元本に組み入れる方式です。1年に2回利息が組み入れられる分、1年複利よりさらに有利になります。元利合計は次の式で計算します。

元利合計=元本×(1+年利率2)年数×2\text{元利合計} = \text{元本} \times \left(1 + \frac{\text{年利率}}{2}\right)^{\text{年数} \times 2}

100万円を年利1%、3年の半年複利で預けると、

1,000,000×(1.005)61,030,3781{,}000{,}000 \times (1.005)^{6} \fallingdotseq 1{,}030{,}378\text{円}

利息は 約3万378円。1年複利(約3万301円)よりさらに77円ほど多くなります。期間が3年程度では差は小さいですが、長期になるほどこの差は広がります。

単利・1年複利・半年複利の比較

Section titled “単利・1年複利・半年複利の比較”

ここまでの数値例を整理すると、同じ「年利1%・3年・元本100万円」でも計算方式によって受取利息が異なることがわかります。

計算方式元利合計(概算)受取利息
単利1,030,000円30,000円
1年複利約 1,030,301円約 30,301円
半年複利約 1,030,378円約 30,378円

利率が同じであれば、単利<1年複利<半年複利の順に元利合計が大きくなる ── これが計算式から導かれる重要な関係です。

試験で出るポイント

「同じ利率なら、半年複利>1年複利>単利」という大小関係は鉄則です。複利の式 (1+r/n)nt(1 + r/n)^{nt}n は1年あたりの利息組入回数(半年複利なら2、1年複利なら1)を表すと押さえれば、計算問題でつまずきません。

なお、預貯金の利息には所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%の合計20.315%源泉分離課税として一律に差し引かれます。受取利息の計算をしたあと、額面利息に対して 80%弱しか手取りにならない 点も覚えておきましょう(詳しくはタックスプランニングの章で扱います)。

預金保険制度 ── 元本1,000万円とその利息までの保護

Section titled “預金保険制度 ── 元本1,000万円とその利息までの保護”

最後に、預貯金商品の安全性を支える預金保険制度(ペイオフ)にも触れておきます。日本国内で営業する金融機関に預けた預金は、万一その金融機関が破綻しても、1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までと、その利息預金保険機構によって保護されます。

ただし、すべての預金が保護対象になるわけではなく、外貨預金譲渡性預金などは対象外です。預貯金で資産を分散して保有するときは、1金融機関あたり1,000万円を意識して分けておくのがセオリー、というレベルでFP3級では押さえれば十分です(詳細は「投資者保護・関連法規」の章で扱います)。

試験で出るポイント

預金保険制度の数字は**「1,000万円とその利息」。覚えるのは「1,000万円」だけでなく「+利息まで」**まで含めるのが正確で、外貨預金は対象外、という点も合わせて記憶しておきましょう。


スーパー定期に関する次の記述の正誤を判定せよ。

スーパー定期は、預入期間が3年以上の場合、個人・法人を問わず半年複利型を選択することができる。

解答

正解:×

スーパー定期の半年複利型は個人のみが選択でき、法人は3年以上であっても単利型のみとなる。「個人=半年複利可」「法人=単利のみ」と区別する。なお、預入期間が3年未満の場合は個人・法人ともに単利型のみである。

定期性預金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 大口定期預金は、預入金額が1,000万円以上で、利息は半年複利で計算される。 ② 期日指定定期預金は、1年間の据置期間の経過後、最長3年までの期日を1か月単位で指定できる定期預金で、利息は1年複利で計算される。 ③ スーパー定期の預入期間は、最長5年までである。

解答

正解:②

①は大口定期の利息計算が半年複利という記述が誤り。正しくは単利である。 ③はスーパー定期の最長預入期間が10年であるため誤り(5年ではない)。 ②は期日指定定期預金の据置期間(1年)・最長期間(3年)・利息計算(1年複利)がいずれも正しい。

固定金利と変動金利に関する次の記述の正誤を判定せよ。

変動金利定期預金は、市場金利が低下しても預入時の金利が満期まで保証されているため、金利低下局面において固定金利の定期預金よりも有利になる。

解答

正解:×

変動金利は、その名のとおり一定期間ごとに適用金利が見直されるタイプであり、預入時の金利が満期まで保証されるわけではない。市場金利が低下する局面では、変動金利の受取利息も減少するため、預入時に高い固定金利を確保した固定金利型のほうが有利になる。「預入時の金利が満期まで変わらない」のは固定金利の特徴である。

元本100万円を年利2%、預入期間2年で預けた場合、単利と1年複利の元利合計を比較した次の記述のうち、最も適切なものはどれか(税金は考慮しない)。

① 単利の元利合計は1,040,000円、1年複利の元利合計は1,040,400円である。 ② 単利の元利合計は1,040,000円、1年複利の元利合計は1,040,000円であり、両者は同じである。 ③ 単利の元利合計は1,040,400円、1年複利の元利合計は1,040,000円である。

解答

正解:①

単利は、1,000,000×(1+0.02×2)=1,040,0001{,}000{,}000 \times (1 + 0.02 \times 2) = 1{,}040{,}000 円。 1年複利は、1,000,000×(1.02)2=1,000,000×1.0404=1,040,4001{,}000{,}000 \times (1.02)^2 = 1{,}000{,}000 \times 1.0404 = 1{,}040{,}400 円。 同じ利率・期間なら 単利 < 1年複利 となり、その差400円は2年目に「1年目の利息20,000円」にもさらに2%の利息(400円)がついた分にあたる。

利息計算に関する次の記述の正誤を判定せよ。

同一の元本を同一の年利率・期間で預ける場合、半年複利で計算した元利合計は、1年複利で計算した元利合計よりも大きくなる。

解答

正解:○

複利は利息を元本に組み入れる回数が多いほど、利息が利息を生む効果(複利効果)が大きくなる。1年に2回組み入れる半年複利は、1年に1回組み入れる1年複利より元利合計が大きくなる。式で書くと (1+r/2)2n>(1+r)n(1 + r/2)^{2n} > (1 + r)^n の関係。同じく単利と複利では、単利 < 1年複利 < 半年複利の順で元利合計が大きくなる。

預貯金商品に関する次の記述の正誤を判定せよ。

普通預金は流動性預金の一種で、いつでも預入・払戻が可能であり、利息は半年ごとに元本に組み入れられる半年複利の扱いとなるのが一般的である。

解答

正解:○

普通預金は、いつでも自由に出し入れできる流動性預金の代表で、給与振込・公共料金の引落・ATM出金など日常の決済口座として使われる。利息は半年ごとに元本に組み入れられる半年複利の扱いとなるのが一般的で、定期性預金よりも金利水準は低めに設定される。

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