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都市計画法(区域区分・開発許可)

不動産は土地や建物を自由に取引できるように見えて、実は「どこに何をどれだけ建てられるか」が法律で細かく決められています。日本の街並みが無秩序に広がらないようコントロールしているのが都市計画法(昭和43年制定)であり、不動産分野で最初に押さえるべき法令です。

この章では、都市計画法による区域区分(市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域)と、開発行為に都道府県知事等の許可が必要となる開発許可の仕組みを整理します。FP3級では「市街化区域には用途地域を必ず定める」「市街化調整区域は規模を問わず原則開発許可必要」といった数字と区分のセットが頻出論点です。

都市計画区域 ── 街づくりのフィールドを区切る

Section titled “都市計画区域 ── 街づくりのフィールドを区切る”

都市計画法は、計画的に街づくりを行うエリアを都市計画区域として指定するところから始まります。都市計画区域は都道府県知事(または国土交通大臣)が指定し、都道府県全域がカバーされているわけではありません。たとえば山間部や僻地は都市計画区域に入っていないこともあります。

都市計画区域には、線引き区域(区域区分が定められた区域)と非線引き区域(区域区分が定められていない区域)の2タイプがあります。線引き区域はさらに「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分されます。これを区域区分(または線引き)と呼びます。

区分位置づけ用途地域
市街化区域既に市街地を形成、またはおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域必ず指定
市街化調整区域市街化を抑制すべき区域原則として指定しない
非線引き区域都市計画区域だが区域区分が定められていない区域必要に応じて指定
準都市計画区域都市計画区域で、放置すると将来の街づくりに支障が出るおそれがある区域必要に応じて指定

市街化区域 ── 用途地域は必須

Section titled “市街化区域 ── 用途地域は必須”

市街化区域は、すでに住宅・商業施設・工場などが集まっている市街地、または今後10年以内に優先的に街として整備していく区域です。この区域では、住宅地としてふさわしいエリア・商業施設を集めるエリア・工業のエリアを区別するため、用途地域必ず定めなければなりません。

市街化調整区域 ── 街にしないエリア

Section titled “市街化調整区域 ── 街にしないエリア”

市街化調整区域は、自然環境や農地を守るために市街化を抑制する区域です。住宅や店舗を自由に建てさせると無秩序に街が広がってしまうため、原則として用途地域を定めず、新たな建築を厳しく制限します。

試験で出るポイント

「市街化調整区域には用途地域を定める」という選択肢は誤りです。「市街化区域は用途地域必須/市街化調整区域は原則指定なし」という対比で確実に押さえましょう。

非線引き区域・準都市計画区域

Section titled “非線引き区域・準都市計画区域”

非線引き区域は、都市計画区域内ではあるものの、区域区分(線引き)がまだ行われていないエリアです。地方の中小都市などに多く見られます。

準都市計画区域は、都市計画区域の外にありながら、高速道路のインターチェンジ周辺など、放置すれば乱開発のおそれがある場所を対象に指定する区域です。区域内には用途地域や特別用途地区などを必要に応じて定められます。

graph TD
    A[国土全体] --> B[都市計画区域]
    A --> C[都市計画区域外]
    B --> D[線引き区域]
    B --> E[非線引き区域]
    D --> F[市街化区域<br>用途地域 必須]
    D --> G[市街化調整区域<br>用途地域 原則なし]
    C --> H[準都市計画区域]
    C --> I[何の規制もないエリア]

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開発許可 ── 区域別の規模要件

Section titled “開発許可 ── 区域別の規模要件”

土地の区画形質を変える行為(造成・分譲開発など)は開発行為と呼ばれ、一定規模以上のものには都道府県知事(指定都市等では市長)の開発許可が必要です。FP3級では、区域ごとの「何㎡以上で許可が必要か」を覚えるのが最重要論点になります。

区域開発許可が必要となる規模
市街化区域1,000㎡以上(原則)
市街化調整区域規模にかかわらず原則すべて必要
非線引き区域・準都市計画区域3,000㎡以上
都市計画区域外(準都市計画区域も外)10,000㎡(1ha)以上

ここでのポイントは、市街化を抑制するエリアほど許可のハードルが厳しいという構造です。市街化を進めたい市街化区域では「1,000㎡以上」という規模基準で線引きしますが、市街化を止めたい市街化調整区域では規模に関係なく原則すべての開発に許可が要ります。逆に開発圧力の弱い非線引き区域・区域外ではハードルが緩くなります。

試験で出るポイント

「市街化調整区域では3,000㎡以上の開発に許可が必要」という選択肢は誤りです。市街化調整区域では規模を問わず原則必要、というのが頻出ひっかけです(数字が書いてあったらまず疑う)。

例外 ── 開発許可がいらないケース

Section titled “例外 ── 開発許可がいらないケース”

開発行為の規模要件を満たしても、次のような開発は許可不要とされる例外があります。FP3級では深掘りされませんが、頭の片隅に入れておきましょう。

  • 農林漁業を営む者の住宅・施設の建築のための開発(市街化区域外)
  • 公益上必要な施設(駅舎・図書館・公民館など)のための開発
  • 都市計画事業・土地区画整理事業の施行として行われる開発

用途地域とは ── 街の「色分け」

Section titled “用途地域とは ── 街の「色分け」”

都市計画法では、用途地域として街を13種類に色分けします(住居系8・商業系2・工業系3)。用途地域ごとに「建てられる建物」「建蔽率」「容積率」「高さ制限」などが決められており、たとえば第一種低層住居専用地域では原則として店舗や工場を建てられません。

13種類の詳細は別ページの「用途地域・防火地域」で扱いますが、ここでは「用途地域は市街化区域には必ず定められ、市街化調整区域には原則として定められない」という配置の原則だけ押さえてください。

区域・許可・用途地域の総合整理

Section titled “区域・許可・用途地域の総合整理”

ここまでの内容を1枚の表で総まとめします。試験直前のチェックにはこの表が役立ちます。

観点市街化区域市街化調整区域非線引き区域準都市計画区域
街づくりの方針計画的に市街化を進める市街化を抑制する区域区分なし区域外で乱開発防止
用途地域必ず指定原則として指定なし必要に応じ指定必要に応じ指定
開発許可が必要な規模1,000㎡以上規模問わず原則すべて3,000㎡以上3,000㎡以上

都市計画区域の階層 — 日本国土>都市計画区域>線引き(市街化/市街化調整)/非線引き、準都市計画区域

試験で出るポイント(総まとめ)

Section titled “試験で出るポイント(総まとめ)”

試験で出るポイント

  • 市街化区域は用途地域必須市街化調整区域は用途地域原則なし
  • 開発許可は 市街化区域=1,000㎡以上市街化調整区域=規模問わず原則すべて非線引き・準都市計画=3,000㎡以上
  • 「市街化調整区域でも◯◯㎡以上で許可」という数字つき選択肢はほぼ誤り
  • 「区域区分」と「線引き」は同じ意味。

都市計画法において、市街化区域には用途地域を必ず定めることとされている。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:○

市街化区域では、住宅地・商業地・工業地などを区別して計画的に街を整備する必要があるため、用途地域を必ず定めなければならない(都市計画法13条)。一方、市街化調整区域では市街化を抑制するため原則として用途地域は定めない。

都市計画区域内の市街化調整区域において、5,000㎡の開発行為を行おうとする者は、原則として都道府県知事等の開発許可を受ける必要がある。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:○

市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であり、開発許可は規模を問わず原則として必要である(都市計画法29条)。5,000㎡はもちろん、ごく小規模であっても許可が要る点が、市街化区域(1,000㎡以上)との大きな違いとなる。

都市計画法上、市街化区域内において行う開発行為で、原則として都道府県知事等の開発許可を受けなければならない最小規模として、最も適切なものはどれか。

  1. 500㎡以上
  2. 1,000㎡以上
  3. 3,000㎡以上
解答

正解:2

市街化区域における開発許可の規模要件は、原則として1,000㎡以上である。3,000㎡以上は非線引き区域・準都市計画区域の基準であり、混同しないよう注意。市街化調整区域は規模を問わず原則必要となる点と合わせて整理すること。

都市計画法上、準都市計画区域とは、都市計画区域で区域区分が定められていない区域のことをいう。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

準都市計画区域は、都市計画区域で、放置すると将来の街づくりに支障が出るおそれがある区域に指定される。設問の説明は非線引き区域(都市計画区域内で線引きが行われていない区域)に該当する。両者は名前が紛らわしいので注意したい。

市街化調整区域には、用途地域を必ず定めなければならない。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

市街化調整区域は市街化を抑制する区域であり、用途地域は原則として定めない。「用途地域を必ず定める」のは市街化区域である。市街化区域と市街化調整区域の説明を入れ替えた典型的なひっかけパターン。

都市計画区域および準都市計画区域において行う開発行為で、原則として都道府県知事の開発許可を受けなければならないのは、その規模が(  )以上の場合である。空欄に当てはまる数字として最も適切なものはどれか。

  1. 3,000㎡
  2. 5,000㎡
  3. 10,000㎡(1ha)
解答

正解:3

都市計画区域かつ準都市計画区域でもない区域では、開発圧力が弱いため、許可が必要となる規模は10,000㎡(1ha)以上と最も緩い基準が設定されている。市街化区域1,000㎡以上、非線引き・準都市計画区域3,000㎡以上、それ以外10,000㎡以上、市街化調整区域は規模問わず原則必要、と区域別に整理しておくこと。

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