国民年金の被保険者種別(第1〜3号)
日本の公的年金は、20歳以上60歳未満の国内在住者全員が加入する 国民年金(基礎年金) を1階部分として、その上に会社員・公務員が加入する 厚生年金 を2階部分として乗せた、いわゆる 2階建構造 になっています。
このうち国民年金は、加入者の働き方や扶養関係によって 第1号・第2号・第3号 の3つの被保険者種別に区分され、保険料の納付方法や負担者がそれぞれ異なります。さらに、原則の加入年齢を超えても任意で加入できる 任意加入被保険者 という4つ目の枠もあります。FP3級学科試験では、毎回ほぼ確実にこの種別判定が問われる最頻出論点です。
国民年金は「全員加入」の基礎年金
Section titled “国民年金は「全員加入」の基礎年金”国民年金法第7条は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満 の人を国民年金の被保険者として強制加入させることを定めています。ここで重要なのは、要件が 「住所」 であって 「国籍」 ではない点です。日本国籍がなくても、日本に住所があれば加入義務があります。
国民年金は、保険料を払った期間に応じて将来 老齢基礎年金 が支給される、すべての公的年金の土台となる制度です。会社員や公務員は、この基礎年金に加えて報酬比例の 厚生年金 を受け取れる仕組みになっています。
試験で出るポイント
「国民年金の第1号被保険者になるには日本国籍が必要」は 誤り の典型例です。国民年金の加入要件は 国内住所 であり、国籍は問われません(2023年9月 問3など)。
3つの被保険者種別
Section titled “3つの被保険者種別”国民年金の被保険者は、働き方と扶養関係で次の3区分に分かれます。試験では「ある人がどの号に該当するか」を判定する形で繰り返し出題されます。
| 区分 | 対象者 | 年齢要件 | 保険料の負担 |
|---|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 自営業者・農林漁業者・学生・無職など、第2号・第3号に該当しない人 | 20歳以上60歳未満 | 本人(または世帯主・配偶者)が 自分で納付 |
| 第2号被保険者 | 会社員・公務員など 厚生年金の被保険者 | (原則として年齢要件なし) | 厚生年金保険料に含めて 給与から天引き |
| 第3号被保険者 | 第2号被保険者に 扶養される配偶者 | 20歳以上60歳未満 | 本人の保険料負担なし(厚生年金制度全体で負担) |
第1号被保険者 ── 自分で保険料を納める人たち
Section titled “第1号被保険者 ── 自分で保険料を納める人たち”第1号被保険者 は、日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の人で、第2号にも第3号にも該当しない人です。具体的には自営業者・農林漁業者・フリーランス・学生・無職の人などが該当します。
第1号被保険者の保険料は、所得や職業に関係なく 定額 で、2025年度は月額17,510円 です(毎年度改定)。納付書・口座振替・クレジットカード・電子納付などで 自分で納付 します。経済的に納付が難しい場合は、後述する免除・猶予制度を申請できます。
試験で出るポイント
第1号被保険者の年齢要件は 「20歳以上60歳未満」。「65歳未満」と書かれていたら誤りです。65歳未満まで加入できるのは 任意加入被保険者(後述)であり、第1号とは別枠であることを区別しましょう。
第2号被保険者 ── 厚生年金加入者
Section titled “第2号被保険者 ── 厚生年金加入者”第2号被保険者 は、厚生年金保険の被保険者 である会社員・公務員などです。厚生年金の被保険者となった瞬間から、自動的に国民年金の第2号被保険者にもなります。これが日本の年金制度の 2階建構造 の正体です。
ここで重要なのは、第2号被保険者には 原則として20歳以上60歳未満という年齢制限がない ことです。たとえば19歳で就職して厚生年金に加入した人は、19歳のうちから第2号被保険者であり、国民年金の保険料納付済期間としてカウントされます。逆に60歳を過ぎて働き続け、厚生年金に加入し続けている人も第2号被保険者です(ただし65歳以降は老齢基礎年金の受給権を得た時点で第2号から外れる扱いがあります)。
保険料は 厚生年金保険料に国民年金分が含まれる形 で給与から天引きされ、勤務先と労使折半で負担します。第2号被保険者本人が国民年金の保険料を別途納付する必要はありません。
試験で出るポイント
「20歳未満で会社員になった人は、20歳になるまで国民年金にも厚生年金にも入らない」は 誤り です。厚生年金加入と同時に第2号被保険者になり、20歳未満でも国民年金の被保険者となります。年齢で機械的に判定しないよう注意しましょう。
第3号被保険者 ── 第2号に扶養される配偶者
Section titled “第3号被保険者 ── 第2号に扶養される配偶者”第3号被保険者 は、第2号被保険者に扶養される配偶者 で、20歳以上60歳未満の人です。代表例は、会社員の夫(または妻)に扶養されている専業主婦・主夫やパート勤務の配偶者です。
最大のポイントは、第3号被保険者は 本人の保険料負担がゼロ であることです。第3号分の保険料は、第2号被保険者全体(厚生年金制度全体)が負担する仕組みになっており、第2号被保険者の保険料が増えるわけでも、扶養している配偶者個人が追加で払うわけでもありません。
「扶養される」と認められる目安は、年収 130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)です。配偶者の年収がこれを超えると、第3号から外れて第1号被保険者となり、自分で国民年金保険料を納める必要が生じます。
なお、第3号の要件は 「第2号被保険者に扶養される」配偶者 である点に注意が必要です。第1号被保険者(自営業者など)の配偶者は、たとえ扶養されていても第3号にはなりません。自営業者の配偶者は自身も第1号被保険者として保険料を納める必要があります。
試験で出るポイント
「第3号被保険者は自分で保険料を納付する」は 誤り。本人の保険料負担はありません。また、「自営業者の配偶者で扶養されている人は第3号になる」も 誤り で、第3号は第2号の配偶者に限られます。この2つは2024年5月 問3、2025年5月 問3など定番のひっかけです。
任意加入被保険者 ── 第4の枠
Section titled “任意加入被保険者 ── 第4の枠”任意加入被保険者 は、原則の強制加入の対象外でありながら、本人の希望によって国民年金に加入できる人です。主な対象は次のとおりです。
- 60歳以上65歳未満 の人で、老齢基礎年金の 受給資格期間(10年)を満たさない 人や、満額(40年)に届かず年金額を増やしたい人
- 海外に居住している日本人(20歳以上65歳未満)
- 厚生年金等の老齢給付の繰上げ受給を選択しなかった人など
任意加入被保険者は 第1号被保険者と同じ 保険料を自分で納付します。受給資格を満たすため、または満額に近づけるための「上乗せ加入」の枠と理解しておけば十分です。
厚生年金との2階建構造
Section titled “厚生年金との2階建構造”公的年金の構造を全体図で整理すると次のようになります。
graph TB
subgraph "2階:報酬比例部分"
K[厚生年金<br/>会社員・公務員]
end
subgraph "1階:基礎年金(国民年金)"
A["第1号<br/>自営業者・学生等<br/>20歳以上60歳未満"]
B["第2号<br/>厚生年金加入者<br/>(年齢制限なし)"]
C["第3号<br/>第2号の被扶養配偶者<br/>20歳以上60歳未満"]
end
K --- B
classDef base fill:#f8fafc,stroke:#94a3b8,stroke-width:1px,color:#333;
classDef primary fill:#eff6ff,stroke:#2563eb,stroke-width:2px,color:#1e40af;
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会社員・公務員は、国民年金(基礎年金)と厚生年金の 両方に加入 している状態です。将来は老齢基礎年金と老齢厚生年金を 両方 受け取れます。これに対し自営業者は1階部分の老齢基礎年金のみで、厚生年金はありません。その差を埋めるために、自営業者向けの 国民年金基金 や iDeCo(個人型確定拠出年金) といった私的年金制度があります。

種別変更の典型パターン
Section titled “種別変更の典型パターン”人生のライフイベントに応じて、被保険者種別はしばしば移動します。FP相談の現場でも頻出する論点です。
| 状況 | 種別の変化 |
|---|---|
| 大学卒業して会社員に就職 | 第1号 → 第2号 |
| 会社員が退職して自営業者に | 第2号 → 第1号 |
| 専業主婦の配偶者(会社員)が退職して自営業者に | 第3号 → 第1号(夫の種別変更に伴い扶養関係が変わる) |
| 会社員の妻のパート年収が130万円を超えた | 第3号 → 第1号 |
| 60歳で退職、まだ受給資格期間に届かない | 第2号 → 任意加入 |
種別が変わる際は、原則として 14日以内 の届出が必要です(第3号→第1号への切替もれは「3号不整合問題」として制度上もしばしば論じられます)。
まとめ ── 試験直前のチェックポイント
Section titled “まとめ ── 試験直前のチェックポイント”試験で出るポイント
- 国民年金の加入要件は 「日本国内に住所」。国籍は不問。
- 第1号の年齢要件は 20歳以上60歳未満(65歳未満ではない)。
- 第2号は 厚生年金加入者。年齢制限なし(20歳未満や60歳以上でも厚生年金に加入していれば第2号)。
- 第3号は 第2号の被扶養配偶者 で20歳以上60歳未満、年収130万円未満、本人の保険料負担なし。
- 第1号被保険者の配偶者は、扶養されていても第3号にはならない。
- 60歳以上65歳未満で受給資格期間が足りない人などは 任意加入被保険者 として加入できる。
国民年金の被保険者の種別に関する次の記述の正誤を判定せよ。
国民年金の第1号被保険者となるためには、日本国籍を有することが要件であり、外国籍の人は日本国内に住所があっても第1号被保険者となることはできない。
解答
正解:×
国民年金法第7条の加入要件は 「日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者」 であり、国籍は問われない。外国籍であっても日本国内に住所があれば第1号被保険者として強制加入の対象となる。
会社員の佐藤さん(25歳)の妻である美咲さん(24歳・専業主婦・年収0円)は、国民年金の第3号被保険者である。次の記述の正誤を判定せよ。
美咲さんは第3号被保険者として、所定の国民年金保険料を自分で納付しなければならない。
解答
正解:×
第3号被保険者は 本人の保険料負担がない。第3号分の保険料は厚生年金制度全体で負担する仕組みになっており、第3号本人が直接納付する必要はない。第3号被保険者期間は、保険料納付済期間として将来の老齢基礎年金額に反映される。
自営業を営む田中さん(45歳)の妻である裕子さん(43歳・専業主婦・年収0円)は、田中さんに扶養されている。次の記述の正誤を判定せよ。
裕子さんは田中さんの被扶養配偶者であり、年収も130万円未満であるため、国民年金の第3号被保険者となる。
解答
正解:×
第3号被保険者となる要件は「第2号被保険者に扶養される配偶者」であって、第1号被保険者の配偶者は対象外である。田中さんは自営業者で第1号被保険者であるため、扶養されている裕子さんも自身が 第1号被保険者 として国民年金保険料を納付しなければならない。
国民年金の第2号被保険者に関する次の記述の正誤を判定せよ。
19歳で会社員として就職し厚生年金保険の被保険者となった人は、20歳になるまでは国民年金の被保険者にはならず、20歳の誕生月から第2号被保険者となる。
解答
正解:×
第2号被保険者には 原則として20歳以上60歳未満という年齢要件がない。厚生年金の被保険者となった時点で同時に国民年金の第2号被保険者となるため、19歳であっても就職して厚生年金に加入した時点から第2号被保険者となる。
任意加入被保険者に関する次の記述の正誤を判定せよ。
60歳以上65歳未満の日本国内居住者で、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない人や満額に届かない人は、申し出により国民年金の任意加入被保険者となることができる。
解答
正解:○
60歳以上65歳未満で受給資格期間が不足している人や年金額を満額に近づけたい人は、本人の申し出により 任意加入被保険者 として国民年金に加入できる。保険料は第1号被保険者と同額で、自分で納付する。海外居住の日本人(20歳以上65歳未満)も任意加入が可能である。
国民年金の被保険者種別に関する次の記述のうち、最も適切なもの はどれか。
① 第3号被保険者は第2号被保険者に扶養される配偶者であり、20歳以上60歳未満で年収130万円未満などの要件を満たす必要がある。 ② 第1号被保険者の年齢要件は20歳以上65歳未満であり、自営業者は65歳まで強制加入する。 ③ 第2号被保険者は厚生年金の被保険者であるが、20歳未満の人は厚生年金に加入していても第2号被保険者にはならない。
解答
正解:①
①は第3号被保険者の要件を正確に述べており適切。②は第1号の年齢要件が誤り(正しくは 20歳以上60歳未満)。③は誤り。第2号被保険者には原則として年齢制限がなく、20歳未満でも厚生年金加入と同時に第2号となる。