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建蔽率・容積率の計算と緩和

土地に建物を建てるとき、敷地の広さに対して どれだけの広さの建物(建築面積)を載せられるか、また 延べ床面積で何階建て相当のボリュームを建てられるか には、建築基準法 によって上限が定められています。前者が 建蔽率(けんぺいりつ)、後者が 容積率 です。

FP3級では、定義式に当てはめる単純計算に加え、前面道路幅員による制限角地や防火地域による緩和敷地が複数の用途地域にまたがる場合の加重平均 といった応用パターンが繰り返し出題されます。本章では、計算の枠組みと例題を通じてこれらを一気に整理します。

建蔽率と容積率 ── 何を測る指標か

Section titled “建蔽率と容積率 ── 何を測る指標か”

両者はいずれも「敷地に対する建物の規模の比率」を示しますが、分子に置く面積が異なる 点が決定的な違いです。

項目建蔽率容積率
公式建築面積 ÷ 敷地面積 × 100(%)延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100(%)
何を測るか建物の 水平方向の広がり(真上から見た占有面積)建物全体の ボリューム(各階床面積の合計)
主な目的敷地内の 空地確保・採光・通風・延焼防止市街地の人口密度・インフラ容量のコントロール
根拠条文建築基準法53条建築基準法52条

たとえば敷地面積200m²、建築面積80m²、延べ床面積160m²の建物なら、建蔽率は80÷200=40%、容積率は160÷200=80% です。

試験で出るポイント

建蔽率には 建築面積(1階を真上から見たときの最大投影面積に近い)、容積率には 延べ床面積(各階の床面積の合計)を用います。両者の分子を取り違えると計算問題は全滅するので、まずこの定義を確実に押さえましょう。

建蔽率と容積率の違い — 平面(建築面積)と立体(延べ床面積)で見る2つの指標

指定建蔽率・指定容積率 ── 用途地域ごとの上限

Section titled “指定建蔽率・指定容積率 ── 用途地域ごとの上限”

具体的な上限値は、都市計画で定める 用途地域 ごとに決まっています。これを 指定建蔽率指定容積率 といいます。

  • 第一種低層住居専用地域などの 住居系:建蔽率は30〜60%、容積率は50〜200%程度と低めに抑えられている
  • 商業地域:建蔽率80%、容積率200〜1300%と非常に大きい

商業地域に高層ビルが集中し、低層住居専用地域には2〜3階建ての戸建てしか建っていないのは、こうした都市計画上の上限差によるものです。

容積率には、用途地域で定められた 指定容積率 とは別に、前面道路の幅員 に応じた上限がもう一つあります。前面道路の幅員が 12m未満 の場合、次の式で計算した値と指定容積率の 小さい方 が、その敷地の容積率の上限となります(建築基準法52条)。

用途地域の区分前面道路幅員に乗じる係数
住居系(第一種・第二種低層住居専用、第一種・第二種中高層住居専用、第一種・第二種住居、準住居、田園住居)4 / 10
その他(近隣商業・商業・準工業・工業・工業専用)6 / 10

たとえば住居系の用途地域、指定容積率200%、前面道路幅員4mの敷地では、

  • 前面道路による制限 = 4m × 4/10 = 160%
  • 指定容積率 = 200%
  • 小さい方を採用 = 160%

となり、200%は使い切れず、160%が容積率の上限になります。前面道路幅員が12m以上の敷地では、この制限はかかりません。

試験で出るポイント

容積率の前面道路幅員制限は、「指定容積率と前面道路×係数のいずれか小さい方」 を採用します。係数は 住居系 4/10、その他 6/10 と覚えれば十分です。

建蔽率には、敷地の条件によって上限を 緩和(加算) できる規定があります。FP3級で押さえるべきは次の3パターンです(建築基準法53条)。

① 特定行政庁が指定する角地(角地緩和)── +10%

Section titled “① 特定行政庁が指定する角地(角地緩和)── +10%”

2つの道路が交わる角地のうち、特定行政庁が指定した角地 は、指定建蔽率に +10% が加算されます。たとえば指定建蔽率60%の角地なら、緩和後は 70% まで建てられます。

② 防火地域内の耐火建築物等(防火地域緩和)── +10%

Section titled “② 防火地域内の耐火建築物等(防火地域緩和)── +10%”

防火地域 の中に 耐火建築物(または準防火地域の準耐火建築物等)を建てる場合、指定建蔽率に +10% が加算されます。火災の延焼防止に貢献する建物を優遇する趣旨です。

③ 両方を満たす場合 ── +20%

Section titled “③ 両方を満たす場合 ── +20%”

角地緩和と防火地域緩和の両方の要件を同時に満たす場合は、両方を合算して +20% が加算されます。

④ 指定建蔽率80%の防火地域・耐火建築物 ── 100%(制限なし)

Section titled “④ 指定建蔽率80%の防火地域・耐火建築物 ── 100%(制限なし)”

特例として、指定建蔽率が80%の地域 にあり、かつ 防火地域内の耐火建築物 である場合は、建蔽率の制限が 撤廃され100%まで建築可能 となります。商業地域などで建物が敷地いっぱいに建てられるのはこのためです。

条件加算例(指定建蔽率60%の場合)
角地のみ+10%70%
防火地域内の耐火建築物のみ+10%70%
角地 + 防火地域・耐火建築物+20%80%
指定80% + 防火地域・耐火建築物制限なし100%

試験で出るポイント

建蔽率の緩和は 「角地+10%」「防火+10%」「両方+20%」「指定80%×防火×耐火=100%」 の4パターン。容積率にはこの種の緩和はない(容積率側は前面道路幅員による「制限」のみ)点も区別して覚えましょう。

実際にどう数字を当てはめるか、典型的な3パターンを例題で確認します。

例題1:建蔽率の基本計算と緩和

Section titled “例題1:建蔽率の基本計算と緩和”

敷地面積300m²、指定建蔽率60%、特定行政庁指定の 角地 にあり、かつ 防火地域内の耐火建築物 を建てる場合の最大建築面積は?

手順

  1. 緩和加算 = 角地+10% + 防火・耐火+10% = +20%
  2. 緩和後の建蔽率 = 60% + 20% = 80%
  3. 最大建築面積 = 300m² × 80% = 240m²

例題2:容積率の前面道路幅員制限

Section titled “例題2:容積率の前面道路幅員制限”

敷地面積200m²、用途地域は 第一種住居地域(住居系)、指定容積率200%、前面道路幅員5m の敷地で建てられる最大延べ床面積は?

手順

  1. 前面道路による制限 = 5m × 4/10 = 200%
  2. 指定容積率 = 200%
  3. 小さい方 を採用 = 200%(同じ値なので200%)
  4. 最大延べ床面積 = 200m² × 200% = 400m²

仮に前面道路幅員が4mだった場合は、4m × 4/10 = 160% となり、指定容積率200%より小さいので 160% が採用され、最大延べ床面積は 200 × 160% = 320m² に縮小します。

例題3:用途地域をまたぐ敷地(加重平均)

Section titled “例題3:用途地域をまたぐ敷地(加重平均)”

敷地が異なる用途地域にまたがる場合、建蔽率・容積率は 面積按分による加重平均 で計算します。

例:敷地面積400m²のうち、

  • 第一種住居地域の部分:300m²、指定建蔽率60%、指定容積率200%
  • 近隣商業地域の部分:100m²、指定建蔽率80%、指定容積率300%

このときの 建築可能な最大建築面積 は、

  • 第一種住居地域 = 300 × 60% = 180m²
  • 近隣商業地域 = 100 × 80% = 80m²
  • 合計 = 260m²(敷地全体としての建蔽率は 260÷400 = 65%)

容積率も同様に、300 × 200% = 600m²、100 × 300% = 300m²、合計 900m² が最大延べ床面積となります。

試験で出るポイント

用途地域をまたぐ敷地では建蔽率・容積率は 面積按分(加重平均)。一方、防火地域と準防火地域 にまたがる場合は 「厳しい方(防火地域)」を建物全体に適用 するルールでした(前章「用途地域・防火地域」)。「またぎ」の処理は規制ごとに違うので、混同しないよう注意。

項目建蔽率容積率
分子建築面積延べ床面積
緩和規定角地+10%/防火・耐火+10%/両方+20%/指定80%×防火×耐火=100%(加算規定なし)
上限を絞る規定(なし)前面道路幅員制限(住居系×4/10、その他×6/10と指定容積率の小さい方)
用途地域またぎ面積按分の加重平均面積按分の加重平均
防火地域またぎ厳しい方(防火地域)の規制を建物全体に適用同左

建蔽率は、建物の延べ床面積の敷地面積に対する割合をいう。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

建蔽率は 建築面積 ÷ 敷地面積 で計算する。延べ床面積を分子にとるのは 容積率。建蔽率は建物の水平方向の広がり、容積率は建物全体のボリュームを示す指標である。

第一種住居地域内にある敷地(敷地面積300m²、指定建蔽率60%)が、特定行政庁の指定する角地に該当し、かつ防火地域内に耐火建築物を建築する場合、この敷地に建築できる建築物の最大建築面積はいくらか。

① 180m² ② 210m² ③ 240m²

解答

正解:③

角地緩和+10%と、防火地域内の耐火建築物緩和+10%が加算され、緩和後の建蔽率は 60%+20%=80%。最大建築面積は 300m² × 80%=240m² となる。

第一種住居地域内の敷地(敷地面積200m²、指定容積率200%、前面道路幅員4m)に建築できる建築物の最大延べ床面積はいくらか。

① 320m² ② 400m² ③ 480m²

解答

正解:①

住居系の用途地域では、前面道路幅員(m)×4/10指定容積率 を比較し、小さい方 を採用する。

  • 前面道路幅員制限 = 4m × 4/10 = 160%
  • 指定容積率 = 200%
  • 小さい方を採用 = 160%
  • 最大延べ床面積 = 200m² × 160% = 320m²

前面道路が狭く、指定容積率200%を使い切れずに160%に制限されるパターン。係数は住居系4/10、その他6/10。

敷地が異なる用途地域にまたがって存在する場合、その敷地全体の容積率の上限は、敷地のうち過半が属する用途地域の指定容積率を用いる。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

建蔽率および容積率は、敷地が複数の用途地域にまたがる場合、それぞれの地域の指定値に各部分の面積を掛けて合計する加重平均 で算出する。「過半が属する地域の規制を適用する」のは 用途制限(建てられる建物の種類) のルールであり、建蔽率・容積率には当てはまらない。

商業地域内で指定建蔽率が80%とされている敷地に、防火地域内の耐火建築物を建築する場合、その建蔽率は90%に緩和される。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

指定建蔽率80%の地域内 で、かつ 防火地域内の耐火建築物 を建築する場合は、建蔽率の制限が 撤廃され100% まで建築可能となる(建築基準法53条6項)。「90%」ではなく「100%」が正しい。商業地域などで建物が敷地いっぱいに建っているのはこの特例によるものである。

近隣商業地域内の敷地(敷地面積400m²、指定容積率300%、前面道路幅員6m)に建築できる建築物の最大延べ床面積はいくらか。

① 1,200m² ② 1,440m² ③ 1,200m²または1,440m²のうち小さい方

解答

正解:①

近隣商業地域は 「その他の用途地域」 に該当するため、前面道路幅員に乗じる係数は 6/10

  • 前面道路幅員制限 = 6m × 6/10 = 360%
  • 指定容積率 = 300%
  • 小さい方 を採用 = 300%
  • 最大延べ床面積 = 400m² × 300% = 1,200m²

前面道路が広いため指定容積率の方が制約となるパターン。住居系(係数4/10)と取り違えないよう注意。

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