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区分所有法(マンション)

マンションは1棟の建物の中で、各住戸の所有者が独立した権利を持つ一方、廊下や階段といった共用部分は全員で共有しています。この複雑な権利関係を整理するために制定されたのが、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法) です。

FP3級では、専有部分と共用部分の区別共用部分の共有持分の計算ルール、そして集会で決議事項ごとに必要となる 賛成割合(普通決議・特別決議3/4・建替え決議4/5) が頻出論点として出題されます。本章ではマンションの権利関係と運営ルールをひととおり整理します。

マンションの建物は、所有者が独立して使用・処分できる 専有部分 と、所有者全員で共同利用する 共用部分 の2つに分けられます。

専有部分 とは、住戸(401号室、502号室など)の 内部空間 のうち、構造上区分され、独立して住居・店舗などの用途に供することができる部分です。区分所有者は、自分の専有部分について、他の所有者の同意なく自由に売買・賃貸・改装することができます。

なお、専有部分のうち実際の所有権の対象となるのは、コンクリートの躯体に囲まれた内部空間(壁の内側) であり、上下階を仕切るスラブや戸境壁の内部までは含まれないのが一般的です。

共用部分 ── 全員で共有する部分

Section titled “共用部分 ── 全員で共有する部分”

共用部分 は、専有部分以外のすべての部分です。具体的には次のようなものが該当します。

  • 廊下・階段・エレベーター・エントランス・玄関ホール
  • 屋上・外壁・基礎・柱・梁・耐力壁などの構造躯体
  • 配管・配線(共用部分内の主要部)
  • 管理人室、集会室、ごみ置き場

これらは 区分所有者全員の共有 であり、自分の専有部分を売却するときも、共用部分の持分だけを切り離して売ることはできません(後述)。

試験で出るポイント

「共用部分」と聞いたら、廊下・階段・エレベーター・外壁・配管 を思い浮かべましょう。専有部分は「住戸の内部」、共用部分は「住戸の外側で全員が使う部分」と整理すれば、区別はほぼ間違えません。

共用部分は全員の共有ですが、各人の 共有持分 は人数で均等割するのではなく、原則として 各区分所有者が有する専有部分の床面積の割合 によって決まります(区分所有法14条1項)。

たとえば総戸数20戸のマンションで、自分の専有部分が80m²、建物全体の専有部分の合計床面積が2,000m²であれば、共用部分の持分は 80 ÷ 2,000 = 4/100(4%) となります。広い住戸の所有者ほど共用部分の持分も大きくなる仕組みです。

ただし、これはあくまで原則であり、規約で別段の定めをすること も認められています(同条4項)。たとえば「全戸均等」や「価額割合」とすることも可能です。

試験で出るポイント

共用部分の持分は 「専有部分の床面積割合」 が原則です。「戸数で均等割」とする選択肢は 誤り。なお、規約で別段の定めができる柔軟性も同時に押さえておきましょう。

敷地利用権との分離処分の禁止

Section titled “敷地利用権との分離処分の禁止”

マンションは建物だけでなく、その建物が建っている 土地(敷地) に対する権利(敷地利用権)も、専有部分と一体として扱われます。

区分所有者は、原則として 専有部分と敷地利用権を分離して処分することができません(区分所有法22条)。たとえば「自分の住戸(専有部分)は売るが、敷地の持分は手元に残す」といった売買は無効となります。これは、土地と建物がバラバラに転売されるとマンションの権利関係が極端に複雑化することを防ぐためのルールです。

マンションの管理運営は、区分所有者全員で構成する 集会 で意思決定されます。決議事項の重要度に応じて、必要な賛成割合が異なります。FP3級で押さえる4段階を一覧で整理しましょう。

決議の種類必要な賛成割合主な対象事項
普通決議区分所有者および議決権の 各過半数通常の管理事項、軽微な変更、管理者の選任・解任
特別決議(3/4以上)区分所有者および議決権の 各3/4以上規約の設定・変更・廃止、共用部分の 重大変更、管理組合法人の設立、義務違反者への使用禁止・競売請求
建替え決議区分所有者および議決権の 各4/5以上マンション全体の 建替え
全員同意区分所有者全員の同意規約共用部分の設定など、ごく限定的な事項

ポイントは、いずれの決議でも 「区分所有者の頭数」と「議決権(共用部分の持分割合)」の両方 で必要数を満たす必要があることです。

日常的な管理事項(管理費の使途、共用部分の軽微な修繕、管理者の選任など)は 過半数 の賛成で決まります。

特別決議(3/4以上)── 規約変更と重大変更

Section titled “特別決議(3/4以上)── 規約変更と重大変更”

規約の設定・変更・廃止 や、共用部分の重大変更(形状または効用の著しい変更を伴う改造、たとえば駐車場をテニスコートに作り替えるなど)には、区分所有者および議決権の各4分の3以上 の賛成が必要です。

逆に、共用部分の 軽微な変更(例:外壁の塗り直し、エレベーターの取り換え)は、形状・効用の著しい変更を伴わないため 普通決議(過半数) で足ります。

マンション全体を取り壊して建て直す 建替え は、所有者にとって最も影響の大きい決議です。区分所有者および議決権の 各5分の4以上 の賛成が必要であり、区分所有法における最高ハードルとなっています。

試験で出るポイント

決議要件は 「過半数/3/4/4/5」 の3段階で覚えます。最も問われやすい組み合わせは 「規約変更=3/4」「建替え=4/5」。「規約変更を3/2や5/4」「建替えを3/4」と書き換えた誤答パターンが頻出です。

集会の議決権は、書面 または 電磁的方法(電子投票) によっても行使できます(区分所有法39条)。仕事や住所の事情で集会に出席できない区分所有者にも参加機会を保障するための仕組みです。代理人による議決権行使も認められています。

マンションの自主ルールである 規約 は、専有部分・共用部分の使用方法、管理費・修繕積立金の負担、管理組合の運営方法などを定めるもので、すべての区分所有者を拘束します。設定・変更・廃止には前述のとおり 3/4以上の特別決議 が必要です。

また、区分所有者は法律上当然に 管理組合 の構成員となります(任意脱退不可)。管理組合は集会で選任された管理者を中心にマンションを運営し、必要に応じて 管理組合法人 を設立することもできます(特別決議3/4以上)。

区分所有法のポイント総まとめ

Section titled “区分所有法のポイント総まとめ”
テーマ押さえどころ
専有部分と共用部分専有=住戸内部、共用=廊下・階段・エレベーター・外壁・配管・躯体
共用部分の持分専有部分の床面積割合(規約で別段の定め可)
分離処分専有部分と 敷地利用権分離処分禁止
普通決議各過半数
特別決議(3/4)規約変更、共用部分の 重大変更
建替え決議4/5以上
議決権行使集会への出席のほか、書面・電磁的方法 も可

区分所有法によれば、マンションの専有部分とは、構造上区分され、独立して住居・店舗等の用途に供することができる建物の部分をいい、廊下・階段室・エレベーターは共用部分に該当する。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:○

専有部分は住戸の内部空間(独立した居住・店舗用途)を指し、廊下・階段・エレベーター・エントランス・外壁・屋上・配管などはすべて 共用部分 として区分所有者全員の共有となる。共用部分は専有部分と切り離して処分することはできない。

区分所有法において、各区分所有者の共用部分に対する共有持分は、規約に別段の定めがない限り、区分所有者の人数により均等に決まる。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

共用部分の共有持分は、規約に別段の定めがない場合、各区分所有者が有する専有部分の床面積の割合 によって決まる(区分所有法14条1項)。広い住戸の所有者ほど共用部分の持分も大きい。「戸数で均等割」は典型的なひっかけ。

区分所有法に基づく集会において、規約の設定・変更・廃止を行うために必要な賛成数として最も適切なものはどれか。

① 区分所有者および議決権の各過半数の賛成 ② 区分所有者および議決権の各3分の2以上の賛成 ③ 区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成

解答

正解:③

規約の設定・変更・廃止は 特別決議事項 であり、区分所有者および議決権の各4分の3以上 の賛成が必要となる(区分所有法31条)。共用部分の重大変更も同じく3/4以上、建替え決議は4/5以上、通常の管理事項は過半数(普通決議)と段階的に整理しておこう。

マンションの建替え決議は、集会において区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成があれば成立する。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

建替え決議 に必要な賛成数は、区分所有者および議決権の 各5分の4以上(区分所有法62条1項)。区分所有法における最高ハードルである。「3/4以上」は規約の設定・変更・廃止や共用部分の重大変更に必要な水準であり、建替え決議とは異なる。

区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権を、規約に別段の定めがない限り、分離して処分することができる。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

区分所有法22条は、規約に別段の定めがある場合を除き、専有部分と敷地利用権を分離して処分することを禁じている。土地と建物がバラバラに転売されると権利関係が著しく複雑化することを防ぐためのルール。「分離処分できる」は誤り。

区分所有法に基づく集会の議決権は、出席して直接行使する方法に限られ、書面や電磁的方法による議決権行使は認められていない。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

集会の議決権は、出席して直接行使するほか、書面 または 電磁的方法(電子投票) によっても行使でき、代理人による行使も認められている(区分所有法39条)。仕事や居住地の事情で集会に出席できない所有者の参加機会を保障する仕組みであり、出席のみに限定する規定はない。

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